QRコード決済とクレジットカードの特徴
クレジットカードは、国内で一番普及しているキャッシュレス決済です。QRコード決済は「○○PAY」で認知が広がった決済方法で、ここ数年伸びている決済方法です。まずは双方の特徴と違いを簡単に確認してみましょう。
■接触型決済のクレジットカード
クレジットカードは「接触型決済」と呼ばれ、物理的なカードを専用端末で読み取ることで決済をします。以前のクレジットカードは「磁気」によって情報を記録していましたが、最近ではICチップ内蔵のクレジットカードが主流です。
クレジットカードの主なメリットは以下の通り。
・普及度が高く、世界中で使える決済手段
・高額商品の決済に向いている
・事前決済や継続課金に向いている
海外旅行やネットの課金でクレジットカードを使った経験がある方は多いでしょう。また、分割払い等で後払いできる性質から、高額な商品の決済に使われ、お店は単価アップと確実な支払いが期待できます。事前決済や毎月の継続課金など、お店単独では回収手段の確保が難しい決済方法に対応できるのもクレジットカードのメリットです。
導入に際してはカードを読み取る端末を用意する必要があり、初期費用がかかります。また、クレジットカードの場合、売上に応じて決済手数料が決まります。公正取引委員会の資料によれば、クレジットカードの決済手数料は売上年間5,000万円の場合で平均4%と、大幅な単価アップが見込めない少額決済主体や利益率が低い業態では、導入のハードルとなってきました。
2017年から2018年にかけ、大企業各社がスマホを使ったQRコード決済に参入し、さまざまなキャンペーンを通じて急速に普及が進んでいます。2018年では24.1%だったキャッシュレス比率ですが、政府が従来の計画を先倒しして「キャッシュレス比率を2025年末までに40%に高める」 との目標を立てるなど、今後もキャッシュレス化が進むと見られます。
■非接触型決済のQRコード決済
QRコード決済は、QRコードを読み取って決済します。QRコード決済は元々、中国で「WeChat Pay」「Alipay」などが社会インフラレベルで普及していました。現在は新型コロナウイルス感染症の影響を受けているものの、オリンピックで訪日観光客が増えると見込まれていた日本では、2018年以降さまざまなQRコード決済サービスがリリースされました。
QRコード決済ではクレジットカードと異なり、物理的な接触なしに決済可能です。そのため、「非接触型決済」と呼ばれます。ちなみに電子マネーも非接触型に該当します。直接的な物のやり取りが不要なので、ソーシャルディスタンスを確保でき衛生的に優れているのもQRコード決済の特徴です。
普及期にあるQRコード決済では、各社がキャンペーン合戦を繰り広げているため、ポイント還元を通じておトクにお買い物ができることが認知され、ユーザー数も増えています。
前述のように、中小店舗でクレジットカード決済導入が進んでこなかった理由として、読取端末を整備する初期費用や、高い決済手数料がハードルとなってきました。これに対し、多くのQRコード決済サービスで導入費用・決済手数料とも無料のため、これまでクレジットカード決済導入をためらっていたお店でも導入が進んでいます。
クレジットカードの読取端末の種類と選択肢
クレジットカード決済の導入には読取端末が必要ですが、最近は複数のキャッシュレス決済サービスが使えるタイプが人気です。ここでは読取端末を大きく以下の3つのタイプに分類しています。
タイプ | 特徴 | 費用感 |
---|---|---|
据え置き型 (レジ一体型) | ・機能性や安定性が高い ・有線接続 ・POSレジとの連携 | 高 |
モバイル型 | ・モバイル回線やWi-Fiで通信 ・野外などでも使用可 ・別途レシートプリンターが必要 | 中 |
スマホ・タブレット型 | ・カードリーダーをスマホやタブレットと接続する ・モバイル回線やWi-Fiで通信 ・別途レシートプリンターが必要 | 低 |
据え置き型は一般的にPOSレジと有線でつないで利用するタイプです。持ち運びすることはできませんが、機能性や通信の安定性が高いのが特徴です。ただその分、費用も比較的高価です。
モバイル型はスマホの回線やWi-Fiでデータ通信できる決済端末です。Bluetoothなどで接続したスマホやタブレットから操作でき、売り上げ履歴や入金管理などを画面上で行います。店内のテーブル会計、宅配、移動販売、出張イベントなど幅広いシーンで利用できます。
スマホ・タブレット型は、スマホやタブレットにカードリーダーを直接接続するタイプの決済端末です。モバイル型同様、お店の内外問わず使用可能で、上記2つのタイプよりも安価に導入できます。
なお、モバイル型とスマホ・タブレット型はレシートを出したいなら別途レシートプリンターを用意する必要があります。一部のモバイル型決済端末には、プリンター一体型のものもあります。
おすすめのクレジットカード読み取り端末5選
それでは具体的な読み取り端末を見てみましょう。ここでは最近、人気の高いモバイル型のサービスを中心に紹介していきます。
サービス名(運営) | 読取端末費用 | 決済手数料 | 入金サイクル | 振込手数料 |
---|---|---|---|---|
Airペイ(リクルートグループ) | 20,167円(税込) ※無料キャンペーンあり | 3.24% or 3.74% | 月3回 or 6回 | 無料 |
Square Terminal(Square) | 46,980円 | 3.25%~3.95% | 翌営業日 or 週1回 | 無料 |
STORES(ヘイ) | 19,800円(税込) ※無料キャンペーンあり | 3.24% or 3.74% | 最短2営業日 | 10万円以上無料 |
LP-PCR2.1 BT(SB Payment Service) | 21,000円(税抜き) | 3.24% or 4.00% | 月2回~月6回 | 無料 |
おてがるPay(JMS) | 無料 | 3.24% or 4.00% | 月2回 or 月6回 | 無料 |
■Airペイ(Air PAY)
「Airペイ」はリクルートグループが提供するキャッシュレス決済端末です。クレジットカードや電子マネーなど、多くのキャッシュレス決済サービスに対応しています。通常のAir ペイの申し込みに加えて、「AirペイQR」に同時加入することで、au PAYやPayPayなど主要なQRコード決済サービスへの対応も可能です。
決済手数料は決済サービスにより3.24%もしくは3.74%。カードリーダーの導入費用は約2万円(購入ではなく貸与)ですが、期間限定でiPadとカードリーダーが無料で使えるキャンペーン中です。入金サイクルは銀行により3回または6回(ゆうちょ銀行利用不可)。振込手数料もかかりません。
ただ、対応しているのがiOSのみなので、Androidのスマホ・タブレットで使用したい場合は利用できません。また別途レシートプリンター・ロール紙(印刷用レシート紙)の用意も必要となります。
■Square Terminal
アメリカのIT企業「Square」が提供する決済端末「Square Terminal」は、クレジットカード、デビットカード、電子マネーに対応しています(QRコード決済サービスには非対応)。
さらにタッチスクリーンやレシートプリンターも備えているため、これ1台でキャッシュレス決済が行えます。登録手数料や月額利用料はかかりませんが、端末を購入する46,980円が初期費用としてかかります。決済手数料は決済サービスにより3.25%~3.95%です。
入金サイクルは三井住友銀行、みずほ銀行に限り翌営業日に振り込まれ、その他銀行口座の場合は週1回となります。なお、いずれの場合も入金手数料は不要です。
また、よりシンプルな「Square Reader」という決済端末もあります。プリンターや画面などは搭載されていませんが、端末費用は1万円以下なので、初期費用を抑えながらキャッシュレス決済を始めたいお店にはおすすめです。
■STORES
Eコマースや決済を扱うヘイ株式会社が運営する「STORES」もクレジットカードや電子マネーなどに対応するモバイル型決済端末。QRコード決済サービスは、WeChat Payのみ利用可能です。端末とスマホもしくはタブレットと接続して利用するタイプで、iOS・Androidの両方に対応しています。
決済手数料は決済サービスによって異なり、3.24%もしくは3.74%。端末費用は19,800円(税込)。導入審査後、6か月以内にひと月でも20万円以上の決済が行われれば、端末の代金が無料になるキャンペーンも行っています。なお、プリンターは内蔵されていないため、レシート発行をする場合は別途用意が必要です。
入金は「手動」と「自動」の2パターンを選択でき、手動の場合は最短2営業日で入金がされます。自動入金は月1回の振り込みとなります。振込手数料は売上が10万円以上なら無料で、10万円未満では200円です。
■LP-PCR2.1 BT(SB Payment Service)
「LP-PCR2.1 BT」はソフトバンクグループのモバイル型決済端末。対応しているキャッシュレス決済サービスはクレジットカードのみで、プリンターは内蔵されていません。入金サイクルは通常月2回で、早期・複数回入金オプションを利用することで入金回数を最大月6回まで増やせます。
決済手数料は業態により3.24%または4.00%。家賃や会費のような継続課金の設定ができるのがこの端末の特徴です。
■おてがるPay
クレジットカード各社の出資で設立された決済代行会社JMSの「おてがるPay」は、クレジットカードやデビットカード、電子マネーに対応しているモバイル型決済端末。1店舗1台までカードリーダーとプリンターが無料で提供され、導入費用がかからないのが「おてがるPay」の魅力。ただし、対応デバイスがiOSのみなので、iPhoneやiPadは別途用意が必要です。
決済手数料は、決済サービスによって異なり3.24%もしくは3.74 %。入金サイクルは月2回もしくは6回から選べ、振込手数料は無料です。
QRコード決済とクレジットカード決済の比較
モバイル型のキャッシュレス決済端末の多くは、クレジットカードや電子マネーがメインで、QRコード決済サービスに非対応です。これは、ICカードを読み取るクレジットカードや電子マネーと、コードを読み取るQRコード決済という、構造の違いも影響しています。
その違いを「au PAY」を例として、モバイル型決済端末とQRコード決済サービスの比較表で確認してみましょう。
QRコード決済(au PAY) | クレジットカード決済 | |
---|---|---|
必要なもの | ・お店専用のQRコード ・スマホ/タブレット ・インターネット環境 | ・読取端末 ・スマホ/タブレット ・レシートプリンター ・インターネット環境 |
初期費用 | 無料 | 無料~数万円 |
決済手数料 | 2022年9月30日まで無料 | 3.24%~ |
入金サイクル | 月1回 or 2回 (早期振込サービスを利用すると最短2営業日) | 最短2営業日~月数回 |
振込手数料 | 無料 | 無料 |
主な違いは、「決済に必要なもの」と「決済手数料」です。QRコード決済の場合は、カードリーダーなどの専用の読取端末は不要で、申し込み後に届くお店専用のQRコードを店頭に掲示するだけで導入ができます。初期費用は、クレジットカード決済だとこれまで見てきたように数万円かかるものもありますが、QRコード決済であれば無料です。
特に少額決済主体で大幅な単価アップが見込めない店舗などの場合、決済手数料がかかるクレジットカード決済導入に比べて、決済手数料が無料のau PAY導入に優位性があります。au PAYの決済手数料が無料になる期間は2022年9月30日までなので、お申し込みをお考えのお店はお急ぎください。
まとめ
クレジットカード決済をお店で使えるようにするには、専用の端末が必要となります。最近では持ち運び可能なモバイル型の決済端末が人気で、使い勝手のいいものも多く登場しています。
ただ一方で経営資源が潤沢ではない中小規模の店舗では、導入費用や決済手数料がネックとなりがちです。これからキャッシュレス決済を始めるようなお店の場合は、QRコード決済からスタートしてみるのがおすすめです。リスクを最小限に抑えながら、お店のキャッシュレス化を進めることができるでしょう。
さらにQRコード決済サービスのなかでもau PAYは、ユーザー数を多く抱え、還元率の高いキャンペーンも豊富に行っています。導入することでお店の売上アップや新規顧客開拓への効果も期待できるでしょう。ぜひ一度、ご検討ください。