キャッシュレス決済とは
日本でも初めてのクレジットカード会社が設立されたのは1960年。キャッシュレスとはその名の通り現金を用いない決済方法のこと。現在ではクレジットカード、電子マネー、デビットカード、プリペイドカード、QRコード決済の5種類が代表的な決済方法です。
これらのキャッシュレス決済手段は、現金決済が年々減少していく中で、私たちの生活にとってより身近な存在になりつつあります。
キャッシュレス決済ごとの特徴やメリット・デメリットを理解した上で、自分のライフスタイルにもっとも適した方法を選択することが重要です。
キャッシュレス決済市場は年々拡大傾向
経済産業省の資料によれば、クレジットカードやQRコード決済を含むコード決済、電子マネーといった、現金以外の支払い手段=キャッシュレス決済が年々増加しているデータが公表されています。
出典:2021年のキャッシュレス決済比率を算出しました 経済産業省
また、矢野経済研究所では、2025年度にはキャッシュレス決済の市場は150兆円を超えるという予測も。
出典:国内キャッシュレス決済市場に関する調査 矢野経済研究所
拡大するキャッシュレス決済市場!2021年度から2025年度で1.5倍に成長する予測
https://media.aupay.wallet.auone.jp/articles/449現金を用いないキャッシュレス決済市場が拡大しています。2021年度の100兆円から2025年度に1.5倍成長する見通しも出ています。海外ではキャッシュレス化比率が日本の数倍あるほか、政府もキャッシュレス化を推進する方針です。従来のクレジットカードに加え、QRコード決済が特に伸びています。
また、キャッシュレス決済サービスの手段別割合では、クレジットカードが多いものの、若干減少傾向を見せており、その減少分を埋める形としてQRコード決済の割合が増加しています。
出典:キャッシュレス・ロードマップ 2022 ⼀般社団法⼈キャッシュレス推進協議会
これほどまでにキャッシュレス決済サービスが増加している理由として、以下のような理由が挙げられます。
・支払いをスピーディに完了させられて便利
・IT技術が進歩し、キャッシュレス決済サービスが多様化した
・現金にさわらないので衛生的
・紛失や盗難など、現金を持ち歩くリスクを軽減できる
・インバウンド対策としてキャッシュレス決済に対応するお店が増えた
・政府によるキャッシュレス推進事業が活発に行われている
・紙幣や硬貨の生産・運搬などにともなう環境負荷を減らせる
キャッシュレス決済サービスの種類
キャッシュレス決済サービスはおもに「電子マネー」「プリペイドカード」「QRコード決済」「クレジットカード」「デビットカード」の5種類あります。
以下、それぞれの詳細を解説します。
キャッシュレス決済の種類 | 特徴 | 具体的なサービス例 |
---|---|---|
電子マネー | ICカードやスマートフォン等に事前にチャージ(入金)を行い、それを使って支払いを行う。決済速度が速く、小額決済に適している。 | Suica、PASMO、Edy、nanaco |
プリペイドカード | カードにあらかじめ決められた金額が入っており、その額まで支払いが可能。使い切ると再利用はできないものが多い。 | Apple Gift Card 、Google Playギフトカード |
QRコード決済 | スマートフォンのアプリを使ってQRコードを読み取り、決済を行う。ポイント還元キャンペーンが充実しており、近年ユーザーが急増している。 | au PAY、PayPay、LINE Pay、楽天ペイ |
クレジットカード | 決済時には即座に商品やサービスを受け取り、後日(翌月や翌々月など)にまとめて支払う。ポイント還元やリボ払い、分割払いなど複数の支払い方法を選択できる。 | VISA、MasterCard、JCB、AMEX |
デビットカード | 決済時に即座に口座から引き落としされる。クレジットカードと同じく利用場所は広いが、利用金額は口座残高に限られる。 | ゆうちょデビット 、SMBCデビット |
電子マネーの特徴
電子マネーとは、現金がなくてもその価値と機能を指すものです。
具体例としては交通系の「Suica」や「PASMO」、流通系の「WAON」などが代表的。
カードを決済端末にかざすタイプのものや、スマートフォン内に内蔵したICチップを利用した「スマホ決済」などが電子マネーに該当します。
電子マネー決済は、基本的に利用前に現金をカードやアプリにチャージする「前払い方式」とクレジットカードと紐づけて決済後に引き落とされる「後払い方式」の2つに分類されます。
クレジットカードと連携させるオートチャージ機能は、一定額を下回った際に自動的にチャージされるためチャージの手間を減らせて便利です。
メリット | デメリット |
---|---|
・審査不要なため誰でも利用ができる。 ・交通機関での利用が可能で、自動改札をスムーズに通過できる。 ・残高が一定額を下回った際に自動的にチャージされるオートチャージ機能がある(一部サービス)。 | ・チャージの手間がある。 ・残高が足りないと利用できない。 ・紛失すると不正利用される可能性がある。 ・ポイント還元率が低め |
プリペイドカードの特徴
プリペイドカードとは、規定の額面のカードが販売されているものや、あらかじめ現金でカードに入金し、その金額の範囲内で商品やサービスの購入ができるキャッシュレス決済サービスです。
身近な例としては「図書カード」「QUOカード」が広く知られています。
これらのプリペイドカードは使い切りタイプとなり、カードの額面の金額を使い切るとそのカードの効力はなくなります。
また、使い切りタイプ以外にも、カードの額面を使い切ったのち改めて現金で再チャージできるタイプのプリペイドカードもあります。
メリット | デメリット |
---|---|
・事前に購入するため、支払い金額の管理がしやすい。 ・コンビニやネットで誰でも簡単に購入できる。 ・ギフトカードとして利用でき、プレゼントにも適している。 | ・一部のカードでは、期限が切れると残高が失効する場合がある。 ・紛失や盗難に対する保証が少ないことが多い。 ・使い切りの場合は、再度購入しなくてはいけない。 |
QRコード決済の特徴
2018年ころから普及が加速し、QRコード決済の主要サービスとしては「au PAY」「PayPay」「d払い」「楽天Pay」などが有名です。
QRコード決済の仕組みは、お店またはユーザーと紐づいた「QRコード」を通じて決済情報がデータで記録されます。その利用情報に応じて、決済アプリの残高もしくはクレジットカードから使った金額分が引き落とされます。
また、ポイント還元のキャンペーンが充実しているのもQRコード決済の特徴で、現金決済よりおトクにお買い物や食事を楽しめます。
メリット | デメリット |
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・スマートフォンがあればすぐに利用開始できる。 ・QRコードを読み取るだけで決済が完了するため、操作が簡単。 ・ポイント還元やキャッシュバックのキャンペーンが頻繁に行われる。 | ・スマートフォンの電池が切れていると利用できない。 ・スマートフォンの操作に不慣れな人にとっては使いづらい場合がある。 |
QRコード決済は基本的に、事前に残高をチャージする「前払い方式」に分類されます。ただ複数の支払い方法を選択できるサービスもあり、クレジットカードと紐づけるなど「後払い方式」にすることも可能です。
QRコード決済を利用する場合のチャージ方法ですが、ATMやコンビニの店頭から現金でチャージを行うパターンや銀行口座からチャージ、そしてクレジットカードやキャリア決済からのチャージと、かなり幅広くなっています。
たとえばau PAYのQRコード決済は、クレジットカードや現金、Pontaポイント、そしてauユーザー限定になりますが「auかんたん決済」、これらの方法でau PAYの残高にチャージできます。
au PAY 残高にチャージ(入金)する7つの方法!上限や利用条件に注意
https://media.aupay.wallet.auone.jp/articles/25au PAYは、QRコードを読み取るだけでかんたんに会計できるスマホ決済。au PAYは前払い方式なので、事前にau PAY 残高にチャージ(入金)する必要があります。au PAYのチャージ方法は、auかんたん決済/クレジットカード/Pontaポイント/現金など7種類。特徴や利用条件、上限金額が異なりますので、自分にあったチャージ方法を選びましょう 。また、店舗のオペレーションにあたっても、お客さまがレジで残高不足だった際に、どのようなチャージ方法があるかを把握しておくと役立つでしょう。
クレジットカードの特徴
クレジットカードとは、買い物の支払いを現金なしでできるカード形式のキャッシュレス決済サービスです。実店舗での支払いのほか、ネットショッピングにおいてもカード番号を入力すれば支払いが完了します。
現金を持たなくても支払いができるのは、これまで紹介した決済方法と同様ですが、クレジットカードが決定的に異なる点は、クレジットカードは支払いタイミングが「後払い」になっている点です。
加えて、分割払いやリボ払いなど支払方法が選べるのもクレジットカード決済の特徴です。なお、クレジットカード決済の場合、与信審査が必要になるため、これまで紹介した決済方法の中では、持つハードルがもっとも高い決済方式と言えるでしょう。
メリット | デメリット |
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・支払いを後回しにできるため、一時的な現金不足を補うことができる。 ・多くの場合、ポイントが付与され、還元率が高いカードも存在する。 ・商品の購入や旅行の予約時に、保証や補償がついてくることが多い。 | ・クレジット審査が必要で、審査に通らないと取得できない。 ・支払いが後回しになるため、予算管理が難しくなる可能性がある。 ・分割払いやリボ払いの場合、金利が余計にかかる。 |
デビットカードの特徴
デビットカードは、予算管理を厳密に行いたい人や、クレジットカードの審査が難しい学生やフリーランスの人々におすすめの決済方法です。
支払いが即座に行われるため、後での返済を心配する必要がありません。
またクレジット審査が不要なため、銀行口座さえあれば基本的には誰でも利用可能です。
しかし、利用時にはいくつか注意点があります。
口座からの引き落としは即時なので、口座残高の管理が必要です。
また、クレジットカードやQRコード決済に比べてポイント還元率が低い場合があるので、ポイント還元を重視する場合にはほかのキャッシュレス決済手段を選んだ方がいいかもしれません。
メリット | デメリット |
---|---|
・即座に支払われるため、後での返済を心配する必要がない。 ・クレジットカードと同じく広範な店舗やオンラインでの利用が可能。 ・クレジット審査が不要で、口座残高があれば誰でも利用できる。 | ・クレジットカードのように支払いを一定期間延ばすことはできない。 ・ポイント還元率は低め。 ・即座に口座から引き落とされるため、口座の残高管理が必要。 |
キャッシュレス決済のメリット
キャッシュレス決済は現金を使用しない決済方法で、スマートフォンやカードを利用して支払いが行えます。
ここでは改めてキャッシュレス決済を利用するメリットを考えてみましょう。
■現金の準備やお釣りを気にする必要がない
キャッシュレス決済は現金を使わないため、現金の準備やお釣りを気にする必要がありません。
お会計時に「お財布にお金が入っていないかった…」と慌てるシーンも減るでしょう。
また、家電や家具など大きな買い物をするときも、現金をたくさん持ち歩くリスクを避けられます。
■高速な取引と効率的な会計
素早く決済できるのもキャッシュレス決済の大きなメリットのひとつです。
現金を数えたりお釣りを受け取ったりする手間がなく、スマートフォンやカードをレジのリーダーにかざすだけで支払いが完了します。
また、最近では割り勘機能を備えたキャッシュレス決済サービスも増えてきており、レストランや居酒屋で友人と割り勘をするときにもスムーズに勘定を済ませられるでしょう。
■支出管理が容易に
キャッシュレス決済は、すべて取引がデジタルで記録されるため、支出管理が容易になります。
カード会社やアプリが提供する取引明細を見れば、いつ何にどれだけのお金を使ったか一目瞭然です。
支出の状況が見える化できるため、無駄遣いを抑えたり、家計簿をつける時間を削減できたりする効果が期待できます。
■ポイント還元でおトクにショッピング
多くのキャッシュレス決済サービスは、支払いごとにポイントが付与されます。
還元されたポイントの使い道は、次回の購入時の支払いに充当できたり、豪華商品と交換できたりなど、サービスによってさまざまです。
また、特定のサービスや店舗では、通常以上のポイントが得られる場合もあります。
日常的な支払いをキャッシュレス決済でまとめることで、ポイントをどんどんためることができるでしょう。
キャッシュレス決済を利用する際の注意点
最後にキャッシュレス決済を活用するにあたっての注意点をご紹介します。
■計画的なご利用を!
キャッシュレス決済は「自分の支払い能力の範囲内」で利用することが大切です。
たとえば、クレジットカードの場合、手元に現金がなくても買い物ができてしまいます。
計画的に利用することを心がけて、心配であればQRコード決済や電子マネーのように「前払い方式」のキャッシュレス決済手段を利用するといいでしょう。
■複数のキャッシュレス決済サービスを併用してみる
ひとつのキャッシュレス決済サービスだけを利用するよりも、複数のサービスを併用することで、より広範囲の店舗やサービスで決済が可能となります。
また、各サービスの特典を上手く活用することで、さらなるメリットを得られる可能性もあります。
ただし、利用するサービスが増えるほど管理が難しくなるため、自分が管理できる範囲内での併用がおすすめです。
■セキュリティ対策も忘れずに
キャッシュレス決済を利用する際には、個人情報の漏洩や不正利用を防ぐためのセキュリティ対策に細心の注意を払う必要があります。
パスワードは定期的に変更し、決済アプリの更新も怠らないようにしましょう。
また、不審なメールやウェブサイトからのリンクを開かない、個人情報を不要に公開しないなど、日常的なインターネット利用における注意点も忘れないようにしましょう。
キャッシュレス決済サービスのまとめ
商品やサービスの購入をキャッシュレスで行う比率は年々上がっていて、2021年度には3割強に達しています。政府も現状の数倍のキャッシュレス化比率を目標に掲げているため、キャッシュレス決済サービスは今後ますます伸びると予想されます。
キャッシュレス決済サービスのなかでも特に伸び率が高いのが「QRコード決済」です。利便性の高さやポイント還元といった部分で消費者の支持を得て、クレジットカードに次ぐ主要なキャッシュレス決済方法として定着しています。