テイクアウトメニューは、お客さまへ料理が届く時間、その経路、食べる場所など通常のグランドメニューとは多くの点で異なります。そのため、グランドメニューをそのままテイクアウト化すればいいというものでは決してなく、持ち帰り用として新たにメニュー開発をしなくてはいけません。
そこでこの記事では、テイクアウトならではのメニュー開発やオペレーションのポイントを解説していきます。
テイクアウト用に、食べやすいメニューを開発する
テイクアウトの場合、「どんな場所で食べてもらえるか」がお店側にはわかりません。自宅やオフィスに持ち帰るのか、公園が近ければピクニック的に屋外で食べる需要も考えられます。
このように食事シーンが分からないからこそ、テイクアウトメニューはどんな状況でも食べやすいものにすることが大切です。ワンハンドで食べられる、小さく切ってお皿に盛る、噛み切りにくい食材を使わないなど、細かな配慮をするとお客さまに喜んでもらえます。
【テイクアウトに向いている料理一例】
・ワンハンドメニュー:ハンバーガー、サンドイッチ、カツサンドなど
・スナック類:唐揚げ、ポテト、コロッケ、タコ焼き、焼きそばなど
・丼ぶりメニュー:親子丼、かつ丼、タコライスなど
テイクアウトの移動時間と揺れに配慮する
店内で食事をしてもらえれば、提供した料理をすぐ食べてもらえます。一方、テイクアウトでは購入してから食べるまでの間に「タイムラグ」が存在します。
そのためテイクアウトでは、時間がたっても美味しく食べられるようなメニューを意識しましょう。例えば、冷めるとタンパク質は固くなり、野菜からは水分が出ます。野菜は塩もみをしてから調理する、麺の茹で時間を短くする、冷めても食味が落ちづらいお米を使うなど、いろいろと創意工夫を凝らしてテイクアウトに向いた料理を考案することが大切です。
また、テイクアウト商品には移動が伴うため、中身がこぼれたり、容器の中で食材が混ざってしまったりしないかにも気を配ります。容器の大きさに合わせて食材を適切にカットしたり、ソースやタレを別添したり、できることはたくさんあるはずです。細部にこだわり、購入後にお客さまが美味しく食べられるメニュー設計にしましょう。
容器はレンジ対応や深いものなど、テイクアウトに適したものを利用する
テイクアウトでは、食べるまでに移動とタイムラグを伴います。そのため、メニューの内容と同じくらい「どんな容器で提供するか」も大切です。
自宅に着いて紙袋を開けてみたら、容器から料理がこぼれていた、汁が漏れて他の料理まで汚れていたらどうでしょう。クレームにもつながるので、容器選びには細心の注意を払いましょう。
フタがしっかりしまる、こぼれづらい底の深い容器にする、レンジ対応の容器を取り入れるなど、色々な選択肢があります。
家では食べられない外食ならではのメニューを設ける
自炊する「内食(家食)」、店内で食べる「外食」に対して、テイクアウトは「中食」と呼ばれます。お客さまが自宅でもなく、イートインでもなく、テイクアウトを選ぶのには、理由があります。
「自分では作れない料理を自宅で食べたい」「店内だと感染が不安なので外で食べたい」「時間がないのでさっと食事を済ませたい」など、人によってニーズはさまざまです。お店の立地やターゲット層、食べるシーンなどを考慮しながら、自炊にも外食もないテイクアウトならではのメニュー開発を心がけましょう。
また、メニューを考える際には、競合店の分析も有効です。飲食店だけでなく、コンビニやスーパーなど、それぞれのお店でどんな食事が販売されどれが売れ筋か調べると、お店が進むべき活路が見えてくるかもしれません。
テイクアウトのオペレーション効率化
例えば、提供に時間がかかりすぎると、顧客満足度の低下につながります。トヨタファイナンシャルサービス株式会社とトヨタファイナンス株式会社が行った「テイクアウトに関する意識調査」では、回答者の62%が注文から受取りまで待つことができる時間を10 分以内と答えています。
支払いから受取りまでの時間は10分以内を目指し、遅くとも15分までには提供できるよう心がけましょう。料理の質、オペレーションの効率、費用など、それぞれのバランスを取りながら売り上げを最大化できるようなテイクアウト体制を構築します。
テイクアウトでは衛生面にも細心の注意
テイクアウトでは、食中毒対策をはじめ衛生面にも細かな注意が欠かせません。十分に加熱する、しっかりと冷ましてから容器に料理を詰めるなど、食中毒菌を出さないことが大事です。
飲食店での衛生管理の鉄則は、「菌を付けない、増やさない、死滅させる」です。食材や調理道具はこまめに洗浄し、生ものの提供は避け、温度管理にも気を付けます。
一般に、食中毒が繁殖しやすい温度帯は、20~50℃といわれています。そのため10℃以下もしくは65℃以上での温度管理を行い、必要に応じて保冷剤などを使用します。さらに「購入後はお早めにお召し上がりください」というような案内を徹底するのも大切です。
なお、以下は厚生労働省のテイクアウト・デリバリーにおける食中毒予防のチェックポイントです。5つのポイントを実行できているか、ぜひチェックしてみてください。
【テイクアウト・デリバリーにおける食中毒予防のためのチェック項目(厚生労働省より)】
チェックポイント① テイクアウトやデリバリーに適したメニュー、容器ですか?
◆鮮魚介類などの生ものの提供は避けましょう
◆水分を切る、よく煮詰める、浅い容器に小分けするなど傷みにくい工夫をしましょう
チェックポイント② お店の規模や調理能力に見合った提供数になっていますか?
◆注文を受けてから調理するなど、食べられるまでの時間を短くする工夫をしましょう
◆容器詰めは、清潔な場所で行いましょう
チェックポイント③ 加熱が必要な食品は、中心部まで十分に加熱していますか?
◆”半熟”卵や、”レア”なお肉の提供は、テイクアウト・デリバリーでは控えましょう
チェックポイント④ 保冷剤、クーラーボックス、冷蔵庫、温蔵庫などを活用していますか?
◆調理した食品は速やかに10℃以下まで冷やすか、65℃以上で保管しましょう
◆食中毒菌は、20~50℃の温度帯でよく増えます!
チェックポイント⑤ 速やかに食べるよう、お客さんにお知らせしていますか?
◆購入した食品は速やかに食べるよう、口頭で、または容器にシールを貼るなどして、お客さんに伝えましょう。
衛生対策としては、キャッシュレス決済を積極的に導入し、現金の受け渡し等の直接的な接触を避ける方法も有効です。
キャッシュレス決済は衛生的なだけでなく、いろいろなメリットがあります。「支払いは現金のみ」というお店は、これを機にキャッシュレス決済の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
新型コロナウイルスが飲食店に与える影響とキャッシュレス決済が衛生対策になる理由
https://media.aupay.wallet.auone.jp/articles/1現在も続く新型コロナウイルス感染症対策で、一時は全国に緊急事態宣言が発令されるなど、飲食業界や観光業界は特に大きなダメージを受けました。各店では、こまめな消毒や衝立の設置、営業時間や滞在時間の短縮など、安全・安心な営業継続のため努力を続けています。au PAYなどのキャッシュレス決済は、不衛生な現金を取り扱わないため、店員・お客さま双方の新型コロナウイルス感染症の予防に役立つ対策の一つです。本記事ではキャッシュレス決済のひとつであるQRコード決済を中心にコロナウイルス感染症対策としてご紹介していきます。
テイクアウトの体制づくりができたらお客さまにアピール!
メニューを考え、オペレーションも決まったら、次にすることは「お客さまに知ってもらう」ことです。広告や情報発信を積極的に行い、テイクアウトをやっていることをアピールしましょう。
例えば、Googleビジネスプロフィールというツールを使えば、Googleマップに表示される自店舗の情報を管理できます。登録できる内容にはお店の名前や連絡先、営業時間などがあり、テイクアウトの対応可否についても登録可能です。
「まだ使ったことがない」という方は、まずはGoogleビジネスプロフィールの登録から始めてみてはいかがでしょうか。以下の記事で、登録方法を解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の使い方
https://media.aupay.wallet.auone.jp/articles/304Googleの検索結果に表示される店舗情報は自社で管理しましょう!店舗情報は第三者でも登録できるため、不正確な情報で機会損失になっている場合があります。「オーナー確認」を受け自社で管理する方法と、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の使い方について。
またUber Eatsやmenuなどの配達サービスを利用するのも方法のひとつです。手数料はかかりますが、お店側はオーダーを受けてから料理を作り、商品をドライバーに渡すだけなので手間も少なくて済みます。
お店の存在を知ってもらうためのツールにもなってくれるので、テイクアウトが軌道に乗ったらデリバリーについても検討してみるといいでしょう。
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まとめ
テイクアウト市場は、新型コロナウィルス蔓延をきっかけにして大きく広がりました。一度テイクアウトを利用した人は、その便利さや美味しさを求めて再度リピートするというケースが少なくありません。
そのため、感染症の流行が落ち着いても、おそらくテイクアウトのニーズは下火になることはなく、IT技術の進歩やテイクアウト関連サービスの多様化によって今後も市場は拡大していくでしょう。お店の売上アップのためにも、テイクアウトに積極的に挑戦し、新たな顧客開拓に取り組んでみてはいかがでしょうか。