NFC(Near Field Communication)とは
NFCはNear Field Communicationの頭文字をとった用語で、日本語では「近距離無線通信技術」と訳されます。身近な例では、決済機能が付いたスマホや、SuicaやWAONなどの電子マネーに用いられています。
また、近年はNFCを搭載したクレジットカードも広く普及しており、その用途はますます広がりを見せています。
NFCの仕組みと機能
NFCは、非接触ICチップを内蔵したデバイス(スマホ、カード、NFCタグなど)と、リーダー/ライター機能を持つ端末が、10cm程度の近距離で通信する仕組みです。世界共通の通信規格で、NFCは主に次のような4つの機能を備えています。
①リーダー/ライター機能…ICチップを内蔵したNFCタグを読み書きする機能
例:NFC搭載のスマホを交通系ICカードに近づけると、残高や履歴などをスマホで読み取り・書き換えができる
②カードエミュレーション機能…非接触ICカードの機能をNFC対応機器に内蔵する機能
例:クレジットカードや交通系ICカードの情報をスマホに登録することで、実際のカードを持ち歩かなくても、スマホをかざすだけで決済や改札通過ができる
③P2P(Peer to Peer)機能…NFCデバイス同士でのデータ通信をする機能
例:NFC搭載機器同士を近づけて、画像データの送受信を行う
④ワイヤレス給電機能…13.56MHzの周波数を使って電力を供給する機能
例:NFC対応の充電器にスマホを近づけて充電ができる
NFCのメリットとデメリット
NFCにはさまざまなメリット・デメリットがあります。主なものを表にまとめました。
メリット | デメリット |
---|---|
処理速度が速い(0.1秒程度) | 通信可能距離が短い(10cm程度) |
セキュリティレベルが高い | 通信速度が遅い(最大847kビット/秒) |
キャッシュレス決済や電子チケットに活用できる | NFCに対応した機器でないと使用できない |
複数の規格に対応可能 | 大容量データの送受信には不向き |
NFCの最大の特徴は処理速度が速い点です。アクセス精度や接続時間を短縮できることから利便性が高く、キャッシュレス決済・交通系ICカードなどに広く利用されています。
さらに、安全面に優れていることでも知られ、そのセキュリティレベルの高さから運転免許証・マイナンバーカードなどの公的な身分証明書でも採用されています。
一方で、「通信可能距離は10cm程度」という点は短所に挙げられます。Wi-FiやBluetooth、赤外線通信など他の近距離無線通信と比較しても通信距離が短いため、離れた場所からの通信はできません。
また、通信速度が遅い点もNFCの特徴です。処理速度は速いものの、データの送受信はそこまで速いとはいえません。改札通過で求められるような、少量のデータを高速にやり取りするのが得意な規格です。
NFCの最大の特徴は処理速度が速い点です。アクセス精度や接続時間を短縮できることから利便性が高く、キャッシュレス決済・交通系ICカードなどに広く利用されています。
さらに、安全面に優れていることでも知られ、そのセキュリティレベルの高さから運転免許証・マイナンバーカードなどの公的な身分証明書にも採用されています。
一方で、通信可能距離は10cm程度と非常に短い点が短所に挙げられます。Wi-FiやBluetooth、赤外線通信など他の近距離無線通信と比較しても短いため、離れた場所からの通信を行うことができません。
また、通信速度が遅い点もNFCの特徴です。処理速度は速いものの、データの送受信はそこまで速いとはいえません(最大通信速度は847kビット/秒)。大容量データのやり取りには不向きでしょう。
NFCは主に3つの規格に分類されています。それぞれの特徴をまとめてみました。
NFCの歴史
NFCが日本で実用化されるようになったのは2000年代はじめ。EdyやSuicaといったサービスがリリースされ、2003年には国際標準規格(NFC IP-1)も制定されました。
そして、NFC IP-1の策定を機に、2004年に業界標準団体「NFCフォーラム」が発足。フィリップス・ノキア・ソニーの3社が設立し、NFCの技術開発や普及などが進められました。
それ以降、電子マネーや「おサイフケータイ」搭載のスマホが次々に登場し、タッチ決済がより生活に身近な決済手段となっていったのです。
NFCの特徴と種類
規格 | 特徴 | 具体例 |
---|---|---|
Type-A | ・オランダの企業が開発 ・海外で普及 ・安価で利用できる | テレホンカード |
Type-B | ・アメリカの企業が開発 ・処理速度が速い ・セキュリティレベルが高い | 運転免許証 マイナンバーカード |
Type-F(FeliCa) | ・日本の企業が開発 ・国内で普及 ・処理速度が非常に速い ・セキュリティレベルが高い | 交通系ICカード |
日本ではType-F のFeliCaが主流となっている一方、海外ではType-AやType-Bが主に利用されています。ちなみに、日本の電子マネーが海外で利用できないのは、このNFC規格の違いが背景にあります。
NFC、FeliCa、おサイフケータイの違い
NFCと似た「FeliCa」や「おサイフケータイ」の違いは何でしょうか。
結論からいうと、FeliCaもおサイフケータイもNFCの一種です。ここでは、FeliCaとおサイフケータイについて、もう少しくわしく見ていきましょう。
■FeliCa
FeliCaは日本の電機メーカーであるソニー株式会社が開発したNFCの規格で、Type-Fに分類されます。電車の通勤ラッシュを捌くなど高速処理の実績があり、セキュリティ面も優れています。
FeliCaは特に日本で広く流通しており、交通系ICカードや電子マネーなどに利用されています。前述の通り、海外ではType A・Bが多く採用されていますが、最近では複数のNFC規格に対応したNFC無線通信LSIも登場しています。
■おサイフケータイ
おサイフケータイは上記のFeliCaを搭載した通信端末、および端末を利用して提供されるキャッシュレス決済サービスのことを指します。つまり、おサイフケータイはFeliCaを使ったサービスの一種です。
おサイフケータイ対応のスマホとクレジットカードを連携させておくことで、スマホをかざすだけで支払いが完了します。
NFCを活用した主な用途
NFCは、キャッシュレス決済や交通系ICカードなど、すでに日常のあちこちで使われています。それらのNFC活用例をご紹介します。
■キャッシュレス決済
NFCのもっとも有名な活用例としては、キャッシュレス決済が挙げられます。電子マネーやタッチ決済機能付きのクレジットカード、おサイフケータイなど、非接触で支払いができるキャッシュレス決済はNFC実装の代表例です。
現金のやり取りがなく、スマホやカードをかざすだけで支払いができるので、ストレスなくスピーディーに決済プロセスを完結できます。また、物理的な接触を避けられるので、近年はその衛生面にも注目が集まっています。
■電子チケット
NFCは電子チケットやICカードにも利用されています。電車・バスなどの切符、航空券、劇場のチケット、ポイントカードなど、さまざまな用途でNFCが役立っています。
たとえばコンサートのチケットにNFCタグを内蔵させると、チケット識別の手間や入場にかかる時間を大幅に削減できます。
また、あらかじめチケットにお金をチャージしてイベント中に買い物ができたり、NFCタグ読み取り機を複数設置してスタンプラリーが楽しめるようにしたりすることも可能です。
■スマートデバイス間の通信
NFCが搭載されていればデバイス間でのデータ通信も可能です。機器同士を近づけてデータの送受信が行えるので、連絡先やメールデータ、画像データなどをスムーズに認証・交換できます。
さらに、周辺機器と簡単にペアリングすることもでき、たとえばスマホとワイヤレススピーカーをNFC対応にすることで双方を近づけるだけで機器の接続ができます。
■iPhoneの「Apple Pay」
iPhoneの「Apple Pay」は、NFCを活用した技術です。Apple Payは、クレジットカードや交通系ICカードを登録すると、iPhoneをかざすだけで支払いができます。
現金をもたずにスマートフォンひとつで決済できる「スマホ決済」。QRコード決済やタッチ決済も、スマートフォンで決済できるという意味では、スマホ決済のひとつです。 つまり、スマホ決済でどれがおすすめかは、スマホ決済にはどんな種類や特徴があって、ご自分のつかい方にはどれが向いているかを知る必要があります。
■Androidの「Google Pay」や「おサイフケータイ」
Android端末で利用できる「Google Pay」や「おサイフケータイ」は、NFCが使われています。どちらもApple Payと同様のスマホ決済システムで、Androidスマホを端末にかざして支払いをします。
■Nintendo Switchのコントローラー
実はNintendo SwitchにもNFC技術が用いられています。
コントローラー(Joy-Con)にチップの読み取り端末が組み込まれており、そこにNFCチップを搭載したフィギュアやカード(amiibo)をタッチして使います。
ゲーム内にキャラクターを登場させたり、ゲームプレイ結果を書き込んだり連携できる仕組みになっています。
■パソコン
NFC搭載パソコンであれば、スマホやデジカメなどとワンタッチでデータのやり取りが可能です。また、USB接続でNFCリーダー/ライターを接続しても、NFCタグの読み書きやデータ通信が行えます。
最近ではNFCリーダー/ライターでマイナンバーカードを読み取ることで、税務署に行かずにオンラインで確定申告できるようになっています。
決済分野では、NFCと同じく非接触の「QRコード決済」も成長
キャッシュレス決済のなかでもよく使われているクレジットカードも、セキュリティ面やタッチ決済への対応から、NFCのICチップ搭載のカードに切り替わりつつあります。
そして、キャッシュレス業界でNFCと同じくらい勢いがあるのが「QRコード決済」です。経済産業省の発表によると、2022年時点でQRコードやバーコードを用いるコード決済の利用額・利用件数ともに、電子マネーを超えています。
これは、最近登場したコード決済が、クレジットカードに次いで、キャッシュレス決済で2番目によく使われる決済方法に成長したということです。
ここではQRコード決済の特徴やNFCキャッシュレス決済との違いなどを紹介していきます。
すっかり社会に定着したQRコード決済。周りは使っているけれども今さら聞けない、あるいは店舗にQRコード決済サービスを導入したいという方もいるのではないでしょうか。 そこで、今回は「QRコード決済のやり方ガイド」として、あらためてその仕組みや使い方、導入方法について解説していきます。
■QRコード決済の特徴
QRコード決済では、カメラやスキャナーでQRコードを読み取って決済を行います。スマホやタブレットさえあれば誰でも利用でき、ポイント還元などのユーザー向けキャンペーンが豊富におこなわれるのも特徴です。
また、事業者側から見るQRコード決済の特徴は、導入時の初期費用が無料なため、費用をかけずにお店のキャッシュレス化を進められる点が挙げられます。なお、一般的にQRコード決済の方法は以下2つの方式に分けられます。
・ストアスキャン方式(CPM)…顧客側が提示したコードを店舗側が読み取る方式
・ユーザースキャン方式(MPM)…店舗側が提示したコードを顧客側が読み取る方式
いずれの方式もクレジットカードのように専用端末をお店が用意する必要はありません。手軽に始められるため、初めて導入するキャッシュレス決済としてQRコード決済が選ばれるケースが増えてきています。
■NFC決済とQRコード決済の違い
NFC決済とQRコード決済の一番の違いは、その使い方にあります。決済完了までのプロセスを見比べてみましょう。
NFC決済 | QRコード決済 |
---|---|
NFCタグにかざす ↓ 決済完了 | アプリ起動 ↓ QRコードをスキャン ↓ 決済完了 |
このように、NFC決済はNFCタグにかざすだけで決済を終えるのに対して、QRコード決済はアプリを起動して、QRコードをスキャンする必要があります。決済のスムーズさではNFC決済のほうに軍配が上がるかもしれません。
ただ、NFC決済はNFCに対応した端末でなければ使用することはできません。その点、QRコード決済はカメラでQRコードを読み取るだけなので、一般的なスマホやタブレットさえあれば誰でも利用することができます。
QRコード決済アプリのおすすめは?人気サービスを比較してみよう
https://media.aupay.wallet.auone.jp/articles/1319QRコードを読み取って決済するQRコード決済は、今日多くの店舗・サービスで利用されるようになりました。これからQRコード決済アプリを利用するなら、利用しているスマホのキャリアやポイント、経済圏などを基準に選ぶことがおすすめです。
まとめ
NFCはスマホやキャッシュレス決済に欠かせない技術で、私たちの身近なところで利用され活躍しています。NFCは処理速度が速く、セキュリティ面にも優れているのが特徴です。最近ではキャッシュレス決済だけでなく、コンサートチケットや広告などにもNFC技術が活用されています。
現状ではやり取りできるデータ量はそこまで多くはありませんが、通信量が大きくなればそれだけ活用用途も広がるでしょう。今後のNFCの発展は、私たちの生活をより便利なものにしてくれるはずです。