キャッシュレス決済とは?
キャッシュレス決済とは、キャッシュ=現金、レス=不要、つまり現金を使わない決済方法です。キャッシュレス決済の代表例として、交通系ICカード、クレジットカードがすでに浸透していますが、近年はこれにスマホを用いたキャッシュレス決済、QRコード決済も普及し始めています。
支払いのタイミングは「前払い」「即時払い」「後払い」に分類されます。そして、人との接触の有無で「接触型」と「非接触型」があります。
キャッシュレス決済の普及率や消費者の意識は?
2021年9月、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが発表した「キャリア決済を中心としたキャッシュレス決済の動向整理」によれば、2020年の日本のキャッシュレス決済比率は29.7%とのこと。2015年は18.2%だったので、10%以上の伸びとなっています。
新型コロナウイルス感染症の影響で民間最終消費支出は落ち込んだものの、キャッシュレス決済の金額は増加しています。
このように見るとまだそれほど普及しているように見えないかもしれませんが、消費者庁が2020年に発表した「キャッシュレス決済に関する消費者の意識」では、キャッシュレス決済を利用している割合は2019年12月の調査で84.7%にも上っています。
そして、キャッシュレス決済利用者の4割強はキャッシュレス決済非対応のお店は避けるというデータもあります。
キャッシュレス決済導入の5大メリット
キャッシュレス決済導入のメリットについて、具体的な数値をもとにした5つの定量的、定性的なメリットを紹介します。エビデンスとなるのは2022年3月に経済産業省が発表したこちらの資料です。
■レジ業務にかかる時間が約1/3減少
レジの決済にかかる時間が減少すれば、人件費が減り人手不足にも役立ちます。
JCBが行った決済速度に関する実証事件では、レジ業務にかかる時間は現金払いが28秒(平均)に対し、キャッシュレス決済は12秒(平均)という結果になりました。現金のやりとりがないため会計時間の短縮や会計ミスの減少につながり、お客さま、事業者双方にメリットがあります。
この短縮時間を労働量に換算した場合、顧客の半数がキャッシュレス決済を行うと、労働時間が約4時間減少する試算になります。
■セルフレジで両替頻度を約2/3減らせる
現金とキャッシュレス決済を比べたとき、現金商売の場合お釣り用の小銭を準備する必要があります。今まで当たり前だった業務も、キャッシュレス化が進むことで減らせます。
キャッシュレス決済対応のセルフレジ導入によって、金融機関で両替する頻度が週3回程度から週1回程度に減少したデータがあります。業務時間の短縮につながったほか、月に2万円程度かかっていた両替時の手数料が8,000円/月程度に抑えられるという副次的な効果もあるようです。
また、現金払いでは1,000円を超えると支払いをためらってしまう場合でも、心理的な抵抗が薄まるのか、キャッシュレス決済対応のセルフレジだと客単価が若干上がる効果も報告されています。
■モバイルオーダーの注文受け時間が最大80%減
飲食業等で、お客さまから注文を受ける「オーダー時間」は、そのために人を配置する必要がある業務でしたが、QRコードからメニューを読み込んだり、タブレット端末導入によるモバイルオーダーの導入が進み始めています。
1件あたり約3分かかっていたオーダー時間は、モバイルによるオーダーではゼロになります。そのため、通常オーダーとモバイルオーダーのお客さまが混在した状態で、オーダーの時間を最大で8割削減できます。
さらにはレジ対応、売上金の振込や両替といった業務時間の削減にもつながっています。ほかにも客単価や決済件数の増加にもつながります。
■違算金確認の業務時間を100%削減
違算金確認とは、レジ締め業務に関連して発生する金額の差異をどうするかという業務です。
現金決済の場合、違算金が発生した場合は対応に30分〜1時間ほどかかってしまいますが、キャッシュレス決済の場合はこの時間がまったくかからないため、100%削減=ゼロになります。
違算金確認をせずにすむ定性的な効果として、レジ対応業務、従業員の精神的負担、窃盗リスクなどを軽減する効果も期待できます。
■会計システムとの連携で決算関連業務時間を100%削減
キャッシュレス決済に加えて会計システムを導入すると、確定申告や決算、売上伝票入力といった経理的な業務時間の大幅削減、場合によってはほぼゼロにできます。
具体的な例としては、6~8時間かかっていた伝票入力・勘定項目登録作業や毎月の給与明細作成時間が自動化されるため、これらの時間がかからなくなります。そして、税理士への書類作成依頼も楽になり、税理士への支払金額を約85%削減できたというケースもあります。
まとめ
キャッシュレス決済のメリットは、なんといっても「スムーズな支払い」です。現金を扱わないために会計時間の短縮はもちろんですが、会計ミスをなくすこともできます。また、大きな金額を扱う場合は安全で手軽になります。このように、お店・お客さま双方にメリットをもたらしてくれます。
お客さまのメリットとして、データにて決済履歴が残るので金銭管理をしやすい、支払い時にポイントがたまるのでおトクといったものが挙げられます。
お店側にはお金にまつわる業務コストを大幅に圧縮できたり、お金を扱うにあたっての心理的負担を和らげるといったメリットがあります。