そもそもハウスルールとは
ハウスルールとは、その店で働くうえでスタッフ全員が守るルールのこと。店ごとの業務内容や雰囲気に合わせ、「ここではこうする」と明文化し、現場の判断基準をそろえるために作られます。単なる規則ではなく、スタッフの共通認識をつくる“共通言語”の役割も果たします。
ハウスルールが店舗運営にもたらす利点は?
トラブル防止やスタッフ間の連携強化に役立つハウスルール。導入することで得られる主なメリットを見ていきましょう。
■サービスの質を一定に保てる
誰が接客しても同じレベルの安心感を提供できるのは、明確なルールがあるからこそ。お客さま対応の基準を共有することでサービスのばらつきを防ぎ、新人スタッフの早期戦力化にもつながります。
■動き方が明確になりモチベーションが向上する
「どう動けばいいか」が明確になることで、日々の業務への不安や迷いが減少します。スタッフ同士の判断基準がそろうと、チームとしての一体感も高まり、働く意欲アップにもつながります。
■離職率を抑えられる
勤務や人間関係のトラブルを事前に防げるため、安心して働ける環境づくりが可能に。結果として、スタッフが長く定着しやすい職場になるでしょう。
ハウスルールの代表的な内容は?
飲食店のハウスルールは、大きく分けて 接客・衛生・勤務まわりの3つの分野に整理できます。ここではよく取り入れられているルールについてご紹介します。
■接客・サービスのルール
接客ルールは、スタッフ全員が同じ基準で動けるように整えることが基本です。声かけや表情、姿勢、電話対応などのルールを整え、明文化することで「誰が対応しても安心感がある」サービスを実現できるでしょう。
特にレジ対応は店舗のお金を扱うため、ミスのない対応が求められますが、現金の受け渡しはトラブルやミスが起きやすいもの。そのため、レジ操作の手順をマニュアル化しておくことで、新人スタッフでも迷わず対応できるようになります。
また、会計をスムーズにする手段としてはQRコード決済(※1)の導入がおすすめです。「au PAY」は、決済に加えてクーポン施策も手軽に始められる点が魅力。「au PAY グロースパッククーポン」は月額利用料550円(税込)(※2)と始めやすく、お店の近くにいるau PAY会員のアプリにクーポンが自動表示されるため「近くを通った新規客」へのアプローチにも有効です。
こうしたQRコード決済やクーポン利用の手順もマニュアル化しておくことで、スタッフ全員が安心して運用を始められるでしょう。
※1 「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です
※2 お客さまのクーポン利用1回ごとに22円(税込)の利用料がかかります
■衛生や身だしなみのルール
身だしなみ
スタッフの見た目や服装は、店舗の印象や安心感に直結します。身だしなみルールとして、以下のような項目を明確に決めておくとよいでしょう。
・髪型・髪色
長い髪はまとめる、帽子やキャップを着用する、前髪が目にかからないようにするなど。
・ヒゲ・顔まわり
ヒゲは清潔に整え、剃るか短く保つ。化粧は控えめに。
・爪・ネイル
爪は常に短く切りそろえ、ネイルやアートは控える。
・制服・服装
制服は清潔に保つ(毎日の洗濯や替えの予備など)、しわや汚れのない状態で着用。
・香り・におい
香水や強い香りの整髪料は控える。体臭や口臭対策もルールに含めておく。
手洗いや清掃
衛生管理の基本として、手洗いや店内・厨房のクリーニングに関するルールを具体的に規定しておくことが大切です。
・手洗いのタイミングや手順
出勤時や休憩後、調理・接客の前後など、手洗いすべきタイミングを明記。手の洗い方(手のひら・甲・指の間・爪の下・手首)や使用する洗剤、洗浄時間も定める。
・清掃担当・手順の明確化
ホールや厨房ごとに、清掃箇所・頻度・手順や担当者を決めて見える化する。
床やテーブル、調味料入れ、ゴミ箱など細部まで対象に含める。
・衛生管理計画・記録保存
食品を扱う全工程において起こりうるリスクを想定して、衛生管理を計画的に実施する手法「HACCP(ハサップ)」の考え方を取り入れ、清掃・消毒の実施記録や検証・改善履歴を残すルールを設ける。
■勤務まわりのルール
働くうえでの基本姿勢や勤務時の取り決めを整理することも大切です。ここでは、職場を円滑にまわすためのルールをご紹介します。
出勤・退勤、シフト
出退勤の流れを明確にすれば、勤怠トラブルを防げます。たとえば「着替え後に打刻」「退勤時は制服を脱いでから」など、店舗に合ったルールを定めましょう。
また、シフト希望の締切を設けると管理がしやすくなります。遅刻や欠勤時の連絡方法も決めておくと混乱を防げます。
ロッカールーム使用方法
ロッカールームの利用ルールを定めるのも、職場環境の清潔さや安全性を保つために欠かせません。私物は整理整頓し、共有スペースに置かないようにしましょう。貴重品はロッカーに入れて施錠するなど、基本ルールを設けると紛失やトラブルを防げます。
携帯電話の扱い方
勤務中の携帯電話の扱いも、店舗ごとに明確なルールを設けましょう。接客中の使用は印象を損なうため、原則禁止とし、ホールへの持ち込みを控えるなどの対策が効果的です。
その他の禁止事項
職場の信頼関係を保つため、従業員間の金銭の貸し借りは禁止と明記しましょう。宗教やビジネス、マルチ商法などの勧誘行為も、トラブル防止のために禁じておくことが大切です。
作ったハウスルールを根付かせるポイント
せっかく作ったハウスルールも、現場で活かされなければ意味がありません。ここでは、ルールをスタッフに定着させ、日常の運営に根付かせるための工夫をご紹介します。
■ルールはシンプル&分かりやすく
大切なのは、ルールをできるだけシンプルに、誰でも理解できる言葉でまとめること。
短く分かりやすい表現を意識し、スタッフが「すぐ行動できる」内容にしましょう。
写真やイラスト、図解を使って直感的に伝える工夫も効果的です。
■運用しながら改善していく
ハウスルールは、作って終わりではありません。運用を重ねる中で「現場に合っていない」「新しい課題が出てきた」と感じたら、定期的に見直してアップデートしましょう。スタッフが意見を言いやすい環境をつくることで、現場への定着もスムーズになります。
■現場に浸透するよう工夫する
ハウスルールは作成後の共有の方法が肝心です。たとえば、マニュアル化して配布する、バックヤードに掲示して「見える化」するなど、スタッフがいつでも確認できる仕組みを整えましょう。
ルールの周知・手順をマニュアル化するとき便利なツールは?
せっかく作ったハウスルールも、紙で配布しただけでは現場に浸透しにくいもの。マニュアル化をクラウド上で進めることで、「誰でも・いつでも・どこでも」最新のルールを確認できる環境を整えられます。ここではルールをいつでも見られるようにするためのツールを紹介します。
Googleドキュメント/Googleスプレッドシート
クラウドベースでリアルタイム編集が可能。リンクを共有するだけでスタッフ全員がアクセスでき、誤字修正や内容追加も即反映できます。
Google ドキュメント: オンライン ドキュメントと PDF エディタ | Google Workspace
https://workspace.google.com/intl/ja/products/docs/Google ドキュメントでオンライン資料を作成して PDF を編集。あらゆるデバイスからリアルタイムで共同編集でき、AI を活用して下書きやテンプレートなどを生成できます。
Google スプレッドシート: オンライン スプレッドシートとテンプレート | Google Workspace
https://workspace.google.com/intl/ja/products/sheets/Google スプレッドシートでは、オンライン スプレッドシートを作成できます。あらゆるデバイスからリアルタイムで共同編集できます。また、AI を活用してフォーマットや分析データなどを生成できます。
Notion
テキスト・画像・チェックリスト・データベースを融合させたカスタマイズ性の高いワークスペースです。閲覧制限や階層構成も設定でき、店舗運営のナレッジの一元管が可能。
あなたのニーズを叶えるAIワークスペース。| Notion (ノーション)
https://www.notion.com/jaカスタムエージェントの構築やすべてのアプリを横断する情報検索、面倒な作業の自動化を行えるAIワークスペースで、チームはより多くの作業をスピーディにこなせます。
Dojo
操作画面のキャプチャを自動取得し、手順書を効率的に生成できるマニュアルツール。複数店舗や複雑な業務プロセスを扱う飲食店でも、有用性が高いと高評価。
業務マニュアル作成ツール『Dojo』 | マニュアル作成・簡単自動作成
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ハウスルールは、気持ちよく働けるお店づくりの第一歩!
ハウスルールは、スタッフの働きやすさとお客さまの満足度を両立させるための店舗運営の土台です。ルールを「縛るため」ではなく、「みんなで気持ちよく働くため」の仕組みとして運用することが、長く愛されるお店づくりへの第一歩です。



