2023・2024年の国内旅行需要の動向と見通し
コロナ禍が明け、2023年と2024年は観光需要が回復の兆しを見せています。まずは、最近の観光業や旅行需要の動向を見ていきましょう。
■コロナ禍の影響から回復した観光業界
2020年4月に1回目の緊急事態宣言が発令され、そのおよそ3年後の2023年5月に新型コロナウイルスが感染法上の「5類」に引き下げられました。
それ以降はさまざまな制限がなくなり、観光業も復調しています。
実際、2023年9月の国内宿泊旅行は、前年と比べて大幅に増加し、コロナ禍前の水準を超えました。
観光庁が発表した「宿泊旅行統計調査」によると、2023年9月の延べ宿泊者数は前年同月比10.4%増の5,093万人泊。2019年比同月比では3.1%増となっています。
それ以降も日本人・外国人ともに、延べ宿泊者数が2019年同月比を上回る状況は続いています。
■2024年3月には訪日外国人客が過去最高の308万人を記録
日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2024年3月の訪日外国人旅行者数は約308万人に達しました。
これは、2019年3月と比べて11.6%も増加しており、統計開始以降初めて300万人の大台を突破する過去最高の数値になります。
さらに、単月として過去最高だった2019年7月の約299万人をも超え、インバウンド需要が大きく成長していることがわかります。
この要因としては、海外のイースター休暇が3月下旬から始まったこと、桜の開花時期に合わせて多くの外国人観光客が訪れたことなどが挙げられます。
とくに、韓国、台湾、香港、シンガポールなどからの旅行者が増加し、活発な観光客でにぎわいました。
そして、2024年の夏もインバウンド需要は伸長することが予想されており、日本経済の成長ドライバーとして引き続き注目を集めていくでしょう。
■円安も影響!旺盛な国内外需要を受け止める準備を
さらに、2024年は「円安」も重要なキーワードです。
円の価値が下がったぶん訪日外国人にとっては、日本国内での消費が割安に感じられます。さらに、日本人は円安のために海外旅行を敬遠し、国内旅行を選ぶ傾向が表れています。
たとえば、トリップアドバイザー株式会社の2024年夏の旅行動向調査によれば、今夏に「旅行を計画している」と回答した日本人旅行者の割合は68%に達し、昨年同時期(65%)比べてわずかに上昇しています。
旅行意欲が堅調な一方、移動距離に関しては日本人旅行者の85%が国内旅行を計画していると回答。昨年(80%)から引き続き国内旅行が人気という傾向が出ていて、同社では円安の影響が考えられるとしています。
近畿日本ツーリストを運営するKNT-CT ホールディングス株式会社の「2024 年ゴールデンウィークの国内旅行動向」では、同社の東京関連の旅行商品販売高が前年比で2倍弱にまで増えるなど、旅行業界としても旺盛な国内外需要を受け止める準備が求められています。
夏休みならではの需要と対策
夏休みは、旅行業界にとって1年のなかでもとくに需要が高まる繁忙期です。
家族旅行やレジャー目的の旅行者が多く、宿泊施設や交通機関、観光施設などはピーク時の対応に追われます。
続いては観光業を営む事業者の方に向けて、夏休みの観光需要に対応するための対策を見ていきましょう。
■訪日外国人需要
日本の観光産業のなかで、インバウンド需要が占める割合は年々増加しています。
そのため近年では、訪日外国人客ありきで売上や販促の計画を立てる事業者も少なくありません。
インバウンド需要を取り込み対応するためには、訪日外国人観光客のニーズを的確に把握し、それに応じた対策を講じることが重要です。
一つひとつできるところからインバウンド対策を進めましょう。
①多言語化への対応
英語、中国語、韓国語など、ターゲットとなる主要言語への多言語化はインバウンド対策の第一歩。外国語対応のWebサイト・パンフレット・メニュー・価格表を用意したり、多言語で接客を行えるスタッフを育成したりすることが重要です。
②文化・習慣への対応
イスラム教徒向けの礼拝スペースやハラル対応の食事の提供など、宗教的な習慣を尊重した対応も重要です。また、ベジタリアンやヴィーガン向けの商品・メニューの需要も一定数存在し、食品やアレルギーを多言語で表示するといいでしょう。
③決済手段の拡充
主要なクレジットカードや電子マネーなど、各種決済手段に対応することで外国人観光客の利便性向上につながります。また、アジア圏の国々ではQRコード決済が主流となっており、「Alipay」や「WeChat Pay」などの海外のキャッシュレス決済サービスを導入するのも有効です。
■家族連れの需要
夏休みは家族旅行の需要が高まるため、家族向けのプランやアクティビティ、子ども向けのイベントやサービスを提供しましょう。
ホテルであれば「海賊」や「昆虫」などテーマに沿った客室やアメニティを用意するのもよいでしょう。
たとえば、2024年3月に北陸新幹線が開通した福井県は、恐竜で有名な地域です。
県内には恐竜がデザインされた「恐竜ルーム」を備えるホテルも多く、ファミリーを中心に注目を集めています。
恐竜ホテル|特集|【公式】福井県 観光/旅行サイト | ふくいドットコム
https://www.fuku-e.com/dinosaur_hotel福井に来たら、まずは恐竜! 福井旅行におすすめの恐竜ホテルとは、恐竜コンセプトの宿泊室(恐竜ルーム)や共有スペース(恐竜スペース)をそなえた、ユニークなホテルです。たっぷりと恐竜を堪能していただけます。恐竜博物館の情報発信も充実。福井の旅…
ほかにも、ベビーカーの貸出や、授乳室・おむつ替えのスペースを設置するなどを通じて、小さなお子さま連れのご家族にも安心して観光を楽しんでもらえるでしょう。
■学生旅行の需要
夏休みは学生の旅行も増えるため、学生にとって魅力的な旅行プランやサービスを提供することが大切です。
学生の旅行需要の取り込みは、平日売上対策になり、1組当たりの客数が増えることも期待できます。
学生グループ向けの集客対策としては、複数名での利用で学割・グループ割を適用する方法が代表的です。
また、旅行先やホテル探しをSNSでおこなう学生も少なくありません。
自社・自店舗のウェブサイトやSNSアカウントで学生をターゲットに情報発信をしてみましょう。
■夏祭りやイベントの利用
夏ならではのイベントを利用した集客も効果的な手段です。
地元で開催される夏祭りや花火大会などに合わせて、販促や集客イベントを実施してみてはいかがでしょうか。
また、2024年の夏はパリオリンピックが開催されます。
日本とフランスの時差は7時間。現地の17時が日本の深夜0時にあたります。
オリンピック観戦をフックに、パブリックビューイングや特別深夜営業をするのも一案です。
【フランスとの時差早見表】(サマータイムの場合)
■ビーチやアウトドアなどのアクティビティ需要
ビーチリゾートやアウトドアアクティビティのニーズも高まります。
飲食店であれば「地域特産の食材を使ったBBQセットを用意する」、レンタカーであれば「アウトドアグッズを無料で貸し出す」など、夏ならではのニーズに対応しましょう。
また、地元のキャンプ場やアクティビティスポットと連携するアイデアも考えられます。
「お肉屋さんがBBQの食材をデリバリーする」というように、観光業とは一見つながりがない業種でも発想次第で夏の売上アップを図れます。
キャッシュレス決済の導入で利便性をアップ
国内外ともにキャッシュレス決済の普及率が上がっており、現金以外の決済手段に対応することは顧客利便性をあげ消費機会を増やすことにつながります。
キャッシュレス決済の導入は夏場だけでなく、その後もつかわれるインフラになるので、未導入の事業者の方は検討してみましょう。
前述の通り、キャッシュレス決済導入はインバウンド対策としても有効です。
訪日外国人観光客にとって使い慣れた支払い手段が使えれば、現金を持ち歩く必要性が減り、ストレスなく買い物を楽しめるようになるでしょう。
お店側としても、訪日外国人観光客の顧客満足度向上と決済業務の効率化につながるメリットがあります。
導入コスト0でリスクなし auユーザーじゃなくても使える、集客力アップが期待できるキャッシュレス決済|au PAY
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ぜひこの機会にキャッシュレス決済をはじめてみましょう。
クーポンを配信して集客する方法
夏の観光・旅行需要獲得のため、デジタルクーポンを活用するのもおすすめです。
デジタルクーポンであればクーポン作成~配信までをスピーディに進められるため、タイムリーな販促施策を実施できます。
夏は台風やゲリラ豪雨など天気が変わりやすい季節です。
突然の雨で客足が悪いのであれば、雨の日クーポンを配って、地元客や観光客の集客を試みてみましょう。
au PAYでは加盟店向けに「au PAY グロースパック クーポン」というサービスを提供しています。
月額550円(税込)で利用でき、クーポンの内容や配信はお店独自でおこなえます。
「au PAY グロースパック」とは?au PAYの加盟店向け新サービスを徹底解説
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まとめ
夏休み時期の旅行・観光需要を獲得するためにも、早いうちから対策をしましょう。
ビジネス特性や集客したいターゲットを考慮して、あなたのお店でしかできない価値を提供することが大切です。
今回紹介した販促アイデアも参考にしていただきながら、夏の売上アップを図りましょう。