コンビニより多い?競争が激しい美容室業界
日本には2023年時点で5.5万店程度のコンビニがありますが、それを上回るのが美容室。厚生労働省の「令和4年度衛生行政報告例」によると、2023年3月時点で26万軒もの美容室が存在します。
沢山お店があるということは、新しいお客さまに自店を見つけてもらうためには、積極的なアピールが必要であると同時に、一度来店したお客さまが他の美容室に移るハードルも低いということを意味しています。
このような環境のなかで、効果的な美容室集客をおこなうには、どうしたらよいでしょうか。
効果的な美容室の集客のポイント
まずは、美容室経営における集客のポイントをおさらいしていきましょう。
■自分のお店の強み・コンセプトの明確化
競争の激しい美容室業界でお客さまに選ばれるお店になるには、他店にないコンセプトやブランディングで差別化していく方法があります。
そのためには、自店の強みやコンセプトを明確にすることが大切です。
・カラーリングやデザインパーマが得意
・駅前立地で夜遅くまで営業している
・個室やキッズスペースを完備している など
強みやコンセプトはお店ごとに当然異なります。
「隣のお店とどう違うのか」「自分のお店が提供できる価値は何か」、これらを整理することが、差別化のための第一歩になります。
■メインターゲット層の定義
コンセプトを明確にしたら、次はメインターゲット層の選定です。
たとえばすべてのニーズに対応しようとする飲食店があったとして、寿司専門店やパスタ専門店などの特化したお店と比べ、差別化することは難しくなります。
美容室では、年齢・性別・値段・立地など基本的な項目のほかに、長持ちするカットやカラーリング、トレンドに敏感、手際が良い、ヘッドスパやマッサージも受けたいなどニーズは細分化されています。
そのなかから、特定のニーズをもつターゲット層を絞り込むことで、メニューや事例、アピールする文言などを集中的に揃えられるメリットがあります。
また、自分たちが持つ強み・コンセプトをお客さまも求めていると確信できれば、より自信を持って集客に取り組むことができるでしょう。
■リピーター獲得の重要性
マーケティングでは、新規客を獲得するには既存顧客を維持する5倍のコストがかかるとする「1:5の法則」の法則があります。
たとえば、よく見かける「お友達紹介キャンペーン」や「初回限定キャンペーン」は、費用をかけて新規顧客を獲得する施策です。費用をかける理由は、そのお客さまが5回10回とリピートしてくれるようになれば、継続的に売上が確保できるからです。
そう考えると、新規顧客の獲得に注力するだけでなく、リピーターを増やしたり維持することも、経営の安定につながる施策といえるでしょう。
美容室の集客力アップにつながる8つのアイデア
飲食における「食べログ」や「ぐるなび」のように、美容室業界には「ホットペッパービューティー」などのポータルサイトがあります。業界独特のツールも活用しながら、美容室の集客力アップにつながるアイデアを紹介していきます。
■ポータルサイトの登録内容を精査する
お店の公式サイトを作っても、SEOが本業ではない美容室が、検索結果の上位に食い込むのはなかなか難しい現状があります。
その対策として、検索上位のサイトに掲載する方法があり、たとえば美容系ポータルサイトのなかで自店を積極的にアピールしていくことも、集客に役立ちます。
・ホットペッパービューティー
・Ozmall(オズモール)
・楽天ビューティ
・BEAUTY PARK (ビューティーパーク)
・minimo(ミニモ)
ただし、ポータルサイトにただ登録・掲載しただけでは他店と差別化できません。
住所や営業時間、アクセスなど正しい店舗情報を掲載するのはもちろんのこと、提供メニュー・料金・所要時間などの詳細情報を記載できているかをまずは確認しましょう。
たとえば、ホットペッパービューティーで「渋谷」とフリーワード検索をすると2,000件以上の美容室がヒットします。
一方、「渋谷 子連れ カラー」と検索すると、ヒット数は約100件 まで絞られます(いずれも2024年4月時点)。
フリーワード検索は、お店のページに記載されている情報をもとに検索結果が表示される仕組みになっています。
お店の情報が充実していて、その説明に検索で使われるようなキーワードが含まれていれば、それだけ検索に表示されやすくなると考えられます。
「掲載してからメンテナンスをしていない」というお店は、あらためてポータルサイトに掲載しているお店の情報を見直してみましょう。
■得意な施術・経歴・強みなど美容師の情報を充実させる
多くの美容師の中から指名予約をしてもらうためには、美容師・スタッフの情報を発信することも大切です。
経歴や資格はもちろんのこと、経験年数や施術事例を盛り込めると説得力が増します。
さらに、出身地や趣味などの個人的な情報も掲載しておくと親しみを感じられ、施術中のコミュニケーションのきっかけにもなるかもしれません。
■お客さまの声や施術事例を紹介する
お店の公式サイトやブログで、お客さまの声や施術事例を紹介するのも有効です。
お客さまアンケートや口コミを掲載することにより、信頼が高まります。
さらに、施術事例やビフォーアフターがわかる写真をあわせて載せると、お客さまもカットやカラーなどのイメージがわきやすくなります。
なお、撮影の際はヘアスタイルが立体的に写る角度や明るさを意識しましょう。
魅力的な写真が撮れたら、説明文(キャプション)も載せましょう。
使用したカットの技法や工夫したポイントなどを盛り込めば、担当美容師の技術やこだわりが伝わります。
■ビフォーアフターの動画をSNSに投稿する
最近では、YouTubeやInstagram、TikTokにビフォーアフター動画を投稿している美容室が増えています。
写真は一目見て施術後のイメージが伝わりますが、動画であれば施術中の雰囲気までを含めて視聴者に伝えられます。
動画を見た人が「自分もこんな風に変われるかも」と思ってもらえれば、集客につながります。
ヒアリングの会話から撮影すれば、丁寧な接客をしている印象も与えられるでしょう。
最近ではスマホのカメラ性能が上がり、手軽にハイクオリティな動画が撮影できるようになっています。
初心者向けの動画編集ツールも多く登場しているので、テロップやBGMを入れて視覚的・聴覚的にも楽しめる動画コンテンツを作成してみましょう。
さらに、SNS投稿をする際には「#ビフォーアフター動画」「#変身動画」「#イメチェン」といったハッシュタグを入れることで、多くの人の目にとまりやすくなります。
■スタッフの人柄が伝わるようなブログ記事を書く
ブログも美容室集客の定番ツールです。
お客さまは美容室選びの際、「どんな人が施術してくれるんだろう…」と少なからず不安を感じています。
事前にブログで人柄がわかれば、初来店のハードルを下げられます。
また、ブログの読者はSNSよりも年齢層が高めだといわれます。
たとえば、アメーバブログの読者は女性が多くを占め、年齢層も30~50代が中心です(2023年末時点)。動画全盛の時代においてもまだまだ文章による情報発信の価値は健在といってもいいでしょう。
お店のターゲット層に合わせて、発信する媒体を選ぶことも大切です。
■男性の施術例をHPやブログに載せる
美容室のメイン顧客は女性ですが、一方で男性の美容室利用率も近年上昇傾向にあります。
一般的に、男性客の客単価は低めですが利用回数は女性客を上回り、常連化しやすいのも男性客の特徴です。
全国理美容製造者協会の調査によれば、「いつも同じ店を利用する」という男性は80%以上にも及びます(2023年5月時点)。
男性客はリピーターになってもらいやすいので、男性の集客に力を入れてみてはいかがでしょうか。
男性向けのヘアスタイルやスキンケアの施術例を紹介すれば、男性が利用しやすいお店であることをアピールできます。
また、抜け毛や頭皮の臭い(加齢臭)、フケ・かゆみといったさまざまな悩みに寄り添った情報発信も有効です。
「男性限定!〇%オフキャンペーン」「男性限定クーポン」など、男性限定のキャンペーンや特典を実施することも効果的です。
■メールで次の来店のきっかけをつくる
「1:5の法則」があるように、美容室経営では新規顧客をいかにリピーターにしていくかが大切です。
そのためにも既存のお客さまに対して、次の来店のきっかけをつくってあげましょう。
標準的な美容室の利用頻度は、1~3ヶ月に1回程度です。
たとえば、前回の来店から3ヶ月以上が経過しているお客さまに対して、メールやDMなどを送り来店を促してみてはいかがでしょうか。
その際には本文に記載する内容も、顧客の関心を引く工夫が必要です。
メリットが瞬時に伝わるよう、「○月限定!再来店10%クーポン」「先着キャンペーン!再来店20%クーポン」といったキャッチーな件名やタイトルを考えましょう。
ただし、割引率等を明示する場合は、不当表示にあたらないよう適用条件を本文中に記載することが大事です。
件名やタイトルで顧客の関心を引く言い回しとしては、「最新トレンド」「新メニュー」「SNSキャンペーン」「雨季限定」といったワードも効果的です。
なお、お客さまの来店頻度に合わせた集客アップのアプローチを行うためには、顧客データの収集が大切です。
Excelやスプレッドシートなどを使いながら、顧客の来店記録をとるとさまざまな集客施策に役立ちます。
■デジタルクーポンを活用する
顧客データを収集する手法として、デジタルクーポンを活用するのもいいでしょう。
デジタルクーポンとは、スマホやパソコンで発行・管理・利用できるクーポンのこと。
紙のクーポンよりも発行や配布にかかる費用を抑えられ、近年さまざまな業態で活用されています。
また、クーポンの閲覧数や利用者数、性別・年代などのレポート機能があるツールも多いので、次の集客施策に活かせる点もデジタルクーポンの強みです。
デジタルクーポンは割引率、対象メニュー、利用条件などの内容を簡単に設定できます。
たとえば、キャッシュレス決済サービス「au PAY」では、加盟店向けサービスのau PAYグロースパック クーポンを提供しています。
お店が独自にデジタルクーポンを発行でき、割引率、対象メニュー、利用条件などの内容を簡単に設定できます。
au PAY グロースパック クーポンについては以下の記事でくわしく解説しています。ぜひこちらもご覧ください。
【加盟店向け】au PAY グロースパック クーポンが実現する集客の課題解決
https://media.aupay.wallet.auone.jp/articles/1225「au PAY グロースパック クーポン」は、店舗独自のクーポンを配信できるau PAYの加盟店様向けサービス(有料)です。クーポンによる集客効果に加え、他の販促手段より安価で効果検証も簡単など、au PAY加盟店様の効率よい販促活動に貢献します。
美容室の集客は地道な努力が欠かせない
競争の激しい美容業界において、今後はより一層「発信力」が集客のカギになっていくでしょう。
もちろん、日々の業務で情報発信まで手が回らないというお店も多いでしょう。
ただ、大切なのは発信する内容の量よりも、質や期間です。
美容室の集客は、一朝一夕に改善できません。
そのため、SNSでもブログでもメルマガでも、小さくてもコツコツと取り組むことが重要です。
そうすれば着実にお店の集客力は高まっていくはずです。
今回紹介した集客アイデアを参考にしていただきながら、集客アップを目指しましょう。