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いまさら聞けないインバウンド消費!2023年最新トレンド

いまさら聞けないインバウンド消費!2023年最新トレンド

2022年の秋以降、外国からの入国規制の緩和が進められ、それ以降国内でインバウンド消費が急回復を見せています。一時は大打撃を受けた観光業界も嬉しい悲鳴をあげていることでしょう。この記事では、直近のインバウンド動向について解説します。

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⏳この記事は約2~3分で読めます。


インバウンド消費とは?

インバウンド(inbound)とは「外から中に入ってくる」「内向きの」という意味をもつ英単語で、観光業では海外から国内に訪れる外国人旅行者のことを指します。

そして、外国人旅行者によって生み出された国内消費活動のことを「インバウンド消費」と呼び、近年では経済活性化の重要なファクターとして知られるようになりました。

インバウンド消費の定義とその特徴

インバウンド消費は、単に観光や旅行関連の消費だけにとどまりません。

国際会議や国際イベントへの参加者、企業の研修や社員旅行などで日本を訪れる外国人もインバウンド消費の対象となります。

インバウンド消費に関する一般的な統計としては、観光庁の「訪日外国人消費動向調査」が有名です。

この調査では航空機などの乗員、経由地による一時滞在者、1年以上滞在している留学生などは調査対象外となっています。

そのため「インバウンド消費」という言葉が使われる際には、この調査対象に準ずる定義をとるのが一般的です。

インバウンド消費の具体的な事例

インバウンド消費と聞いてもっともイメージしやすいのは、宿泊や飲食、買い物などでしょう。
特に日本製品は高品質なことから多くの外国人に好まれます。

中国人観光客が日本で大量に消費行動する「爆買い」という言葉は、2015年のユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞にも選出され話題となりました。

また、飲食店やホテル、旅館など接客業のきめこまやかさも魅力で、「おもてなし文化」は日本が誇る立派な観光コンテンツといえるでしょう。

また、最近では「モノ消費」から「コト消費」へとインバウンド消費もシフトチェンジしています。

目に見える商品に価値を見出す「モノ消費」に対して、商品やサービスを通して体験に価値を見出す「コト消費」の需要が高まっています。

【インバウンド×コト消費の一例】
・ストリートカート(人気ゲームのマリオカートで東京の公道を走る体験型コンテンツ)
・ロケツーリズム(日本国内にある映画やドラマなどのロケ地をめぐる観光スタイル)
・城崎温泉の外湯めぐり(浴衣を着て温泉街を歩ける観光コンテンツ)
・観光周遊ルート「スピリチュアルな島~四国遍路~」(お遍路を体験できる外国人向け企画)

インバウンド消費が注目される理由

日本政府は安倍首相の時代に観光立国を掲げ、2003年に訪日外国人旅行者1000万人を目標とする「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を策定しそれ以降、外国人旅行者誘致策に国を挙げて取り組んできました。

人口増加が見込めず、生産年齢人口も減少する中では、「インバウンド消費」を成長戦略の柱として重要視してきたのです。

その取り組みの結果、2014年ごろから急速に訪日外国人が増加し、2019年には約3,200万人に到達しました。

日本を訪れる外国人が急増したのには、次のような理由が考えられます。

【訪日外国人が急増した主な理由】
・格安航空会社(LCC)の就航拡大
・外国人向け施設の整備進捗
・免税制度の拡充
・訪日ビザ緩和
・日本コンテンツの根強い人気と知名度

なお、政府が外国人観光客の誘致を始めた2000年代初頭から、訪日外国人客数最高を迎えた2019年までは大きく4つのフェーズに分けられます。

一般的に2003年から政府主導で観光地に団体客を誘致した段階を「インバウンド1.0」をと呼び、2014年ごろの“爆買い”に代表されるインバウンドバブルを「インバウンド2.0」といいます。

インバウンド2.0が起きたきっかけとしては、東南アジアに対するビザ要件の大幅緩和が挙げられ、さらに免税のための最低購入金額が5,000円に引き下げられたのも一要因となっています。

そして、2010年代終わりから2020年代初めにかけての時期は「インバウンド3.0」です。それまでは東京や大阪などの大都市がインバウンド客の対象でしたが、このころになると、徐々に地方にも訪日外国人が訪れるようになります。

そして、近年では「インバウンド4.0」に移行しつつあり、このフェーズでは「コト・体験消費」のニーズが高まっています。

かつては質の高い日本の製品が訪日外国人の目当てでしたが、最近では日本の文化や自然などに触れられる体験型のアクティビティや観光ツアーなどが人気となっています。

インバウンド消費が日本経済に及ぼす影響

インバウンド消費がピークを迎えた2019年の訪日外国人旅行消費額は、総額4兆8,135億円。1人当たりの旅行支出額は158,531円でした。

例えば、日本のディスカウントストアの市場規模はおよそ4兆円といわれています。

これを考えるとインバウンド消費が、日本経済全体に与える影響は決して少なくないことがわかります。

なお、国籍・地域別では、中国1兆7,704億円、台湾5,517億円、韓国4,247億円、香港3,525億円、米国3,228億円の順で多く、これら上位5カ国・地域で全体の約7割を占めています。

また、費目別では以下のような内訳になっています。

買物代1兆6,690億円(34.7%)
宿泊費1兆4,132億円(29.4%)
飲食費1兆397億円(21.6%)
交通費4,986億円(10.4%)
娯楽等サービス費1,908億円(4.0%)

ただ、2020年からは新型コロナウィルス感染症の世界的な大流行があり、インバウンド消費はほぼゼロになり、日本に与える経済損失はかなり深刻なものだったといえるでしょう。

それも2022年10月からは海外からの個人旅行が再開され、以降は急回復を見せています。

2023年4月には花見需要の高まりも相まって月間訪日外客数は1949万人に達しました。これは2019年同月比で66.6%の水準で、今後さらなるインバウンド消費回復に注目が集まります。

政府の目標はインバウンド消費年間5兆円

日本のインバウンド消費に関する当面の目標は年間5兆円です。

この数字は2023年3月に閣議決定された「観光立国推進基本計画」内で示されている目標です。

また、マーケット全体を5兆円に引き上げると同時に、外国人旅行客1人当たりの目標消費額は20万円に設定されています。

そのための施策として、地方を周遊するツアーで滞在日数を伸ばす、日本の自然や地域ならではの文化を生かしたツアーを充実させるなど、旅行の付加価値を高めていくことがアクションプランとして掲げられています。

各自治体もインバウンド誘致に積極的
政府だけでなく、各自治体もインバウンド誘致に前のめりです。

モノ消費からコト消費へトレンドが変化し、旅のスタイルも変化しつつあります。

以前は大都市に集中していた訪日外国人客ですが、最近は地方に注目が集まっています。

その背景には個人旅行の増加があり、自分の好みや嗜好に合わせて旅行を楽しむ人が増えているのです。

各自治体もインバウンド誘致の可能性に気づきつつあり、日本各地で外国人旅行客向けのサービス向上やコンテンツ開発の取り組みが進められています。

なお、じゃらんリサーチセンターの「インバウンド市場の注力ターゲット調査」によると、全国のDMO・自治体が現在注力している市場のトップは台湾(84.5%)。

2位は米国で71.8%、3位はオーストラリアで69.0%が続きます。

また、今後にかけて狙いたい市場は、中東・インドネシア・フィリピン・英国などの国が上位です。

理由としては「訪日旅行の滞在期間が長い層だから」「訪日旅行の消費金額が高い層だから」と、消費額と長期滞在を重視した理由が挙げられています。

インバウンド消費を取り込むためにすべきことは?

最近のインバウンド誘致戦略では、国別にターゲットを絞り、国民性を意識したアプローチが定石です。

成功事例として、宮崎県高千穂町の「高千穂観光協会」が挙げられます。データ収集・分析を通じて外国人向けに渓流でのボート遊びなどのアクティビティを重視することで、外国人観光客が増加しました。

また、インバウンド対策は個人や店舗にも重要です。多言語対応のウェブサイトやSNS整備、無料Wi-Fiの設置、日本らしいメニュー開発などが挙げられます。

さらに、キャッシュレス決済の導入も顧客満足度向上に繋がる可能性があります。中国のAlipayやWeChat Payなどのキャッシュレス決済を店舗でも導入すれば、訪日中国人観光客にも便利ですね。

まとめ

コロナ禍で一時的に落ち込んだインバウンド消費ですが、2022年以降急速に海外からの客足は回復しています。もしこれから外国人観光客の集客を考えるのであれば、そのための取り組みを進めましょう。

例えば、ネットを通じたプロモーションを行い、外国人の方が「やってみたい、体験したい」と思えるような商品・サービスも考案します。

また、多言語表示やWi-Fi整備、キャッシュレス決済サービスの導入もインバウンド対策として有効です。

一つひとつ課題をクリアにしながら、積極的にインバウンド消費の取り込みにトライしてみてはいかがでしょうか。



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