2022年のキャッシュレス決済比率は36%!政府目標の達成は間近
キャッシュレス推進協議会が発表した「キャッシュレス・ロードマップ2023」によると2022年のキャッシュレス決済比率は36%でした。
2021年は32.5%だったので、対前年比では3.5%増加したことになります。直近15年間でもっとも大きな伸びで、同ロードマップでは、普及のクリティカルマスを超えたかもしれないとしています。
ちなみに、キャッシュレス決済比率の伸び幅が大きくなってきたのは2017年ごろから。この年に政府は「2025年6月までにキャッシュレス決済比率4 割程度を目指す」という具体的な目標を発表しました。
それ以降「キャッシュレス・消費者還元事業」「マイナポイント」、各自治体のポイント還元キャンペーンなど、政府・行政からの支援策もあり、その効果が数字として表れていると言えるでしょう。
2025年4月には大阪・関西万博の開催も予定されており、このままいけば政府目標を達成する見込みとなっています。
キャッシュレス決済普及に大きな効果があった「キャッシュレス・消費者還元事業」とは
https://media.aupay.wallet.auone.jp/articles/272019年から実施された「キャッシュレス・消費者還元事業(キャッシュレス・ポイント還元事業)」は、キャッシュレス決済の普及に大きな効果がありました。この記事では、国の方針や「キャッシュレス・消費者還元事業」の概要と成果について、わかりやすく紹介します。また、2020年9月から始まった「マイナポイント事業」や、Go Toキャンペーンなど、キャッシュレス決済のトレンドについても解説していきます。
マイナポイント第2弾の申込期限は2023年9月末まで!10月以降に始まる自治体マイナポイントとは?
https://media.aupay.wallet.auone.jp/articles/1084「マイナポイント第2弾」の申込期限はもともと2023年5月までの予定でしたが、延長され9月末が締め切りとなっています。今回は、締め切り目前に差し迫ったマイナポイント第2弾について、あらためてその概要と申し込み方法をご紹介します。 さらに、2022年10月から始まった新たな施策「自治体マイナポイント事業」についても解説していきます。 「マイナポイントの申込期限に間に合わせたい」「マイナポイント第2弾について知りたい」という方はぜひ参考にしてみてください。
国がキャッシュレス決済を推進する理由
キャッシュレス決済比率4割を達成したからといって、そこで終わりではありません。
その先を見据えた政府のビジョンでは、将来的には世界最高水準である8割を目指しています。
では、国がここまで力を入れてキャッシュレス決済を推進する理由とは一体何なのでしょうか。
ここでは改めて日本がキャッシュレス社会に向かっている背景や理由を考えてみましょう。
■インバウンド対策
世界の主要国は、日本よりもキャッシュレス化が進んでいます。特に中国や韓国では、キャッシュレス比率が8割を超えており、多くの国民がキャッシュレス決済を利用しています。
ご存じの通りコロナ禍がひと段落し、外国人旅行客の訪日が回復してきています。不慣れな現金払いより、キャッシュレス決済に対応している方が、機会損失が少ないと考えられます。
観光立国を掲げ、訪日外国人旅行客の数が実際に増えている今、日本としてもキャッシュレス化をすすめていきたいという背景があります。
日本を訪れる外国人旅行者数も急速に回復しています。直近の調査では訪日外国人観光客の数はインバウンドのピークを迎えた2019年の約6割の水準まで戻っています。2023年のインバウンドの動向について、最新データとともに詳しくお伝えしていきます。
現金での支払いに代わる方法として注目を集める「キャッシュレス決済」。キャッシュレス決済とは現金を使わずに決済することで、代表的な種類としてクレジットカードや電子マネー、QRコード決済などがあります。 この記事では、キャッシュレス決済の概要や、注目を集める背景、さらには世界各国のキャッシュレス事情などをまとめてご紹介していきます。
■会計業務の簡略化、人員不足の解消
少子高齢化で労働人口が減少していく日本では今後、生産性向上が成長のカギになってきます。コロナ前にはすでにその兆候が現れ、人手不足で夜間営業を取りやめる飲食店が増えているニュースを覚えている方もいらっしゃるでしょう。
そして、キャッシュレス決済を広く普及させることは、会計や現金を扱う業務の軽減につながり、結果として生産性向上が期待できます。
経産省のある調査によれば、キャッシュレス決済の会計処理に要する時間は現金決済よりも35%少ないというデータもあります。
キャッシュレスの推進はレジ業務負担を減らすことにつながり、労働力不足を解決する手立てのひとつになるのです。
■現金決済のコスト削減
インフラとしての現金決済を維持するには実は多額の費用がかかっており、経産省は、現金のインフラを維持するためには年間2.8兆円の費用がかかると試算しています(参考)。
具体的には、ATM設置・運営コストや警備コスト、お店であれば釣り銭の準備やレジ締めなどの人件費が間接的にかかってきます。
銀行等金融機関の支店統廃合や、ゆうちょ銀行で51枚以上の硬貨の預け入れに手数料がかかるようになったニュースがあるように、現金決済に関するサービスが不便になったり、有料化される動きも出始めています。
キャッシュレス決済の普及率が高まれば、現金にまつわる無駄な費用を抑えられます。
■CO2排出削減
消費者やお店の立場からは見えづらいですが、キャッシュレス化はCO2の削減効果も期待できます。国の立場では、こうした観点も考慮しているという例です。
お金の製造やATM・両替機・釣銭機の稼働など、現金利用に関連する年間のCO2排出量は20万トンを超えるといいます。
社会全体のキャッシュレス化は温室効果ガス削減につながるため、キャッシュレス決済はSDGsの観点からも注目を集めているのです。
キャッシュレス決済手段別ではQRコード決済が急増
それでは現在の日本では、どんなキャッシュレス決済が利用されているのでしょうか。
ここでは種類ごとの内訳を見てみましょう。
決済手段 | キャッシュレス全体額に占める割合 | 増減率 | |||
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2021年 | 2022年 | |
クレジットカード | 86.8% | 85.3% | 84.5% | 8.8% | 15.8% |
デビットカード | 2.5% | 2.8% | 2.9% | 25.1% | 19.3% |
電子マネー | 7.0% | 6.3% | 5.5% | -1.1% | 1.9% |
コード決済 | 3.7% | 5.6% | 7.1% | 66.3% | 50.3% |
キャッシュレス全体の金額の増減率 | 10.6% | 16.9% |
日本でもっとも広く利用されているのはクレジットカードで、そのあとにコード決済が続きます。コード決済とは、QRコードやバーコードを読み取って決済する方式で、au PAYもそのひとつです。
2021年までは電子マネーが2位でしたが、2022年に初めて電子マネーをコード決済が抜いたことは特筆すべき点といえるでしょう。
コード決済の増減率は、2年連続で50%を超えていて、ほかのキャッシュレス決済よりも成長率が高い決済方法です。
お店のキャッシュレス導入比率は何%?
キャッシュレス決済の普及には、「つかえる人」と「つかえる場所」の両方増えることが重要です。それでは、お店側が対応しているキャッシュレス決済の種類と導入率を見てみましょう。
決済手段 | 導入率 |
---|---|
クレジットカード | 63.3% |
コード決済 | 55.6% |
電子マネー | 29.7% |
全体 | 80% |
上記は2021年11月、中小企業を対象に行われた調査の結果です。
お店側のキャッシュレスの導入比率は全体では80%に達しており、クレジットカード・コード決済ともに半数を超えていることがわかります。
消費者側のキャッシュレス需要だけでなく、お店側のキャッシュレス決済の受け入れ態勢も整ってきています。
お店にキャッシュレス決済を導入する場合の選択肢
顧客単価の高いお店ではクレジットカードの導入が多く、逆に顧客単価の低いお店ではコード決済の導入が進んでいます。
決済手段 | 1,000円以下 | 3,000円~5,000円 | 10,000円~30,000円 | 30,000円以上 |
クレジットカード | 38% | 57% | 94% | 92% |
コード決済 | 61% | 60% | 40% | 38% |
電子マネー | 30% | 28% | 25% | 32% |
客単価が1万円を超えるお店ではクレジットカードの導入率が高く、逆に客単価が1万円を下回るとコード決済のほうが選ばれる傾向にあります。
実際コンビニエンスストアでは、支払金額・支払件数ともにコード決済がクレジットカードよりも多く利用されています。
もしこれからキャッシュレス決済を導入するのであれば、「客単価」という判断基準も、一つの要素になりそうです。
まとめ
日本の2022年のキャッシュレス決済比率は36%ということがわかりました。
2025年までに4割程度という政府目標の達成も間近で、将来的には80%という目標を掲げていることを考えれば、キャッシュレス決済にはまだ成長余地がありそうです。
本記事では、キャッシュレス化が進む背景、消費者のニーズ、事業者側の環境整備がそろいつつある状況を見てきました。今後、少子高齢化で労働人口が減ることが見えている日本社会では、効率化のため一層キャッシュレス化が推進されることが想定されます。
日常生活のなかで、キャッシュレス決済の利用に慣れている方も増えています。キャッシュレス決済導入時の従業員の教育や消費者への周知のハードルも、下がってきています。まだキャッシュレス決済を導入していないお店の方も、これを機会にキャッシュレス決済の導入を検討されてはいかがでしょうか。