インバウンド向けのキャッシュレス決済、「インバウンド決済」とは?
インバウンド決済とは、「外国人観光客向けのキャッシュレス決済サービス」を指す言葉です。
単なるキャッシュレス決済とは異なり、海外で広く利用されている決済手段を主に意味します。
外国でも広く普及しているキャッシュレス決済が日本国内でも使えれば、外国人観光客の消費行動がより活発になると期待されます。
インバウンド対策としてキャッシュレス決済が有効な理由とは?
そもそも、キャッシュレス決済がインバウンド対策として重視される理由には、海外でのキャッシュレス決済普及状況にあります。
キャッシュレス推進協議会が作成した「キャッシュレス・ロードマップ2023」によれば、中国・イギリス・アメリカ・カナダ・フランスなど世界の主要国いずれもキャシュレス決済利用率が5割を超えています。
特に、日本への観光客も多い中国・韓国では80〜90%と、キャッシュレス決済が社会インフラレベルで使用されている点が重要です。
世界主要国におけるキャッシュレス決済比率(2021年) | |
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韓国 | 95.3% |
中国 | 83.8% |
イギリス | 65.1% |
シンガポール | 63.8% |
カナダ | 63.6% |
アメリカ | 53.2% |
フランス | 50.4% |
日本 | 32.5% |
※出典:キャッシュレス・ロードマップ 2023(キャッシュレス推進協議会)
一方日本はというと、右肩上がりに上昇はしているものの2022年で36%程度にとどまります。キャッシュレス決済比率において、上記の国と比較しても日本はまだまだ発展途上といえるでしょう。
政府はこの現状をふまえ、2025年までにキャッシュレス決済比率を4割まで引き上げることを目標に掲げています。
現金決済比率が高い日本でも政府がキャッシュレス決済を推進する背景には、現金管理の手間軽減、人手不足への対応、生産性向上などが挙げられるでしょう。
そして、「インバウンド客のキャッシュレスニーズに対応する」ことも、国や自治体、民間企業がキャッシュレス決済導入を進める理由のひとつです。
かつて、中国人旅行客が日本製品を大量購入したことで話題となった「爆買い」は、流行語大賞にも選ばれ、大きな経済効果をもたらしました。
外国人観光客がもたらすインバウンド消費は、ポストコロナ禍の日本経済を下支えする一翼を担うことになるでしょう。
そのためにも、キャッシュレス決済の利用環境を整え、訪日観光客の消費を喚起し、経済の回復と市場発展につなげる狙いがあるのです。
アジアでのQRコード決済普及状況
海外でも特にキャッシュレス決済比率が高いのが、韓国・中国・シンガポール・台湾といったアジア各国です。
韓国と中国にいたってはキャッシュレス決済比率が8割を超え、まさにキャッシュレス決済先進国といえるでしょう。
そして、アジアのキャッシュレス先進国でよく利用されているのが「QRコード決済」(スマホ決済)です。
今ではほとんどの方が現金を持たずに、スマホひとつでバーコードを読み取って支払いを済ませる決済方法が主流になっています。
【アジア各国の主なQRコード決済】
・韓国:Kakao Pay
・中国:Alipay、WeChat Pay
・シンガポール:PayNow、DBS PayLah!
・台湾:JKOPAY
日本でも各種QRコード決済サービスが急速に普及しましたが、基本的に国内展開で、外国人観光客がそのまま使うことはできません。
そのため、インバウンド対策をするなら、上記のような各国で利用されているQRコード決済サービスを導入する必要がある、ということです。
2023年インバウンドが急回復
では続いて、直近のインバウンドの動向を振り返ってみましょう。
日本政府観光局(JNTO)によると、2023年7月の訪日外客数は約232万人でした。
2019年比では77.6%となっており、200万人を突破した前月6月からさらに約12%増加しています。
さらに2023年8月10日には中国政府が日本への団体旅行を解禁。コロナ禍による制限があったことで中国人旅行客の数が数年低迷していましたが、今後は急回復することが予想されます。
次に、三菱UFJリサーチ&コンサルティングとインジェスターによる「インバウンド購買意欲指数(2023年第2四半期)」を見てみましょう。
全国の小売店で訪日外国人の接客をしている従業員が調査対象で、訪日外国人観光客の購買意欲を指標化した調査を出しています。
この調査によれば、2022年5月以降から購買意欲指数が着実に上昇しており、実体としてインバウンド消費が回復していることが見て取れます。
なお、2023年第2四半期の購買意欲指数(現状水準DI)は「76」。指数は50より大きいと購買意欲が強いということを意味し、76という数字はコロナ禍前の数値を大きく超えています。
さらに、観光庁が公表している「訪日外国人消費動向調査(2023年4~6月期1次速報)」でも、中国を除くほとんどの国々が2019年比の消費額を上回っています。インバウンド需要が戻ってきたことが、データからも裏付けられました。
日本を訪れる外国人旅行者数も急速に回復しています。直近の調査では訪日外国人観光客の数はインバウンドのピークを迎えた2019年の約6割の水準まで戻っています。2023年のインバウンドの動向について、最新データとともに詳しくお伝えしていきます。
中国からの訪日客の取り込みが"鍵"
2023年上半期は台湾やアメリカ、韓国などの国がインバウンド需要の多くを担っていました。
今後の動向としては、3年ぶりの海外への団体旅行が解禁された中国が急回復すると予想されます。
2024年以降、インバウンド需要を取り込んでいくのであれば、「爆買い」をうんだ中国からの訪日客をターゲットにするのが良策かもしれません。
その場合は、中国の2大決済サービス「Alipay」と「WeChat Pay」の導入が候補となってくるでしょう。「QRコード決済の導入がまだ」「インバウンド対策をしたい」という事業者の方は導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
物価高により国内消費が伸び悩んでいるなか、期待されているのがインバウンド消費です。
中国団体旅行解禁を皮切りに、今後もますます需要は高まり、国内経済を盛り上げてくれることでしょう。
キャッシュレス普及率が高い中国観光客の需要を取り込むには、「Alipay」と「WeChat Pay」の2大QRコード決済サービスの対応が有効です。