2026年で交付開始から10年のマイナンバーカード

マイナンバーカードは2016年1月から本格的な交付が始まり、2026年には運用開始から10年の節目を迎えます。
マイナンバーカードには、健康保険証としての利用に続き、2025年3月からはマイナ免許証としての機能も加わります。
まずは、マイナンバーカードの概要をおさらいしておきましょう。
■マイナンバーカードとは?基本情報をおさらい
マイナンバーカードは、券面に氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバー(個人番号)と顔写真が表示されたICチップ付きのカードです。
公的な身分証明書として利用できるだけでなく、ICチップには電子証明書が格納されており、オンラインでの本人確認や電子署名が可能です。
総務省の発表によれば、2025年2月末時点でのマイナンバーカード保有率は78%。
政府は2022年末までに「ほぼ全国民に行き渡ることを目指す」としていましたが、目標は完全には達成されておらず、現在も普及促進策が継続されています。
■保険証の次は免許証!2025年3月24日からマイナ免許証がスタート
マイナンバーカードに保険証機能がつくことはご存知かもしれませんが、すでに2024年12月2日から、従来の健康保険証は新規発行されなくなっています。つまり、紙の保険証からマイナンバーカードへの切り替えが進んでいるのです。
さらに、2025年3月24日からは、マイナンバーカードに運転免許証の機能を統合した「マイナ免許証」の運用が全国でスタートします。
これにより、マイナンバーカードが運転免許証としても使えるようになり、従来の免許証を持ち歩く必要がなくなります。
ただし、マイナンバーカードを運転免許証として使用する(マイナ免許証)ためには、各都道府県の運転免許センターや警察署などで手続きが必要です。
マイナ免許証に切り替えることで運転免許証の情報がマイナンバーカードのICチップ内に記録され、警察署での各種手続きの簡素化、再発行手続きの効率化などのメリットが期待されています。
■マイナンバーカードの取得方法
マイナンバーカードの取得方法は、主にオンラインと窓口の2通りあります。
オンラインでの申請は、スマートフォンやパソコンから「マイナンバーカード総合サイト」にアクセスし、顔写真のアップロード、必要事項の入力などをするだけで完了します。
窓口での申請も可能で、その場合は市区町村の窓口に直接出向いて、交付申請書に必要事項を記入して提出します。
いずれの場合も、申請から1〜2ヶ月程度で交付通知書が届き、申請者本人が指定の窓口に出向いてマイナンバーカードを受け取ります。
なお、初回発行は無料で、有効期限は18歳以上の場合は発行から10年間、18歳未満の場合は5年間です。初期にマイナンバーカードを発行した方では10年の期限切れになるため、更新手続きをおこないましょう。
マイナンバーカードでできることをまとめて紹介

マイナンバーカードは身分証明書にとどまらず、さまざまな行政サービスや生活シーンで活用できる多機能なカードへと進化しています。
ここでは改めて、マイナンバーカードでできる主な機能や活用方法を紹介していきます。
■本人確認・身分証明
マイナンバーカードは、運転免許証やパスポートと同様に公的な身分証明書として広く認められています。
銀行口座の開設や携帯電話の契約、各種会員登録など、本人確認が必要な場面で幅広く利用できます。
特に、運転免許証を持っていない方や高齢者にとっては、信頼性の高い身分証明書として重宝するでしょう。
また、ICチップに格納された電子証明書を活用すれば、オンライン上での厳格な本人確認も可能になり、印鑑や実印に相当する電子署名もできます。
■オンライン行政手続き
マイナポータルという専用サイトを通じて、以下のような行政手続きをオンラインで完結できます。
・確定申告(e-Tax)
・児童手当の申請
・介護保険の給付申請
・引越しによる転出届の提出 など
これまで窓口に出向く必要があった手続きが自宅からできる点は、マイナンバーカードの大きなメリットといえるでしょう。
子育て世帯向けの各種給付金申請や、年金・税金関連の手続きなど、時間のかかる複雑な申請を自宅に居ながらにして手続きできて便利です。
■健康保険証利用
事前に「マイナポータル」から利用申し込みしておくと、マイナンバーカードを全国の対応医療機関や薬局で保険証の代わりに使用できます。
紙のお薬手帳などと違って、薬剤情報や特定健診情報などがデータとして保存され、複数の医療機関を受診する際に投薬歴や検査結果を医師と共有しやすくなる点もマイナンバーカードのメリットです。
さらに、高額療養費制度における「限度額適用認定証」の機能も内包されているため、高額な医療費の窓口負担が自己負担限度額までに抑えられ、事前の申請手続きも不要になります。
■コンビニでの証明書取得
マイナンバーカードがあれば、全国のコンビニ(セブン‐イレブン、ローソン、ファミリーマート、ミニストップなど)に設置されているマルチコピー機で、以下のような各種証明書を取得できます。
・住民票の写し ※コンビニ交付で取得できる証明書には住民票コードは記載されません。
・住民票記載事項証明書
・印鑑登録証明書
・各種税証明書
・戸籍証明書(全部事項証明書、個人事項証明書)
・戸籍の附票の写し
なお市区町村により、取得できる証明書の種類が異なります。取得可能な証明書の種類は、「利用できる市区町村」よりご確認ください。
■マイナ免許証
2025年3月24日開始のマイナ免許証なら、運転免許証とマイナンバーカードの2枚を持ち歩く必要がなくなります。
免許証の更新や記載事項変更などの各種手続きも簡略化され、免許証の有効期限通知や更新案内もオンラインで受け取れます。
■民間サービスでの活用
マイナンバーカードは行政サービスだけでなく、民間サービスでも活用が広がっています。
主にサービス登録や口座開設の申し込み時に本人確認書類として利用でき、銀行から証券会社、保険会社、不動産など幅広い業態で導入が進んでいます。
■マイナポイントの獲得
マイナンバーカードの普及を促進するため、政府はこれまでさまざまな施策を展開してきました。
その代表格が、マイナポイント事業(終了済)です。
マイナポイントの第1弾は「2020年9月〜2021年12月」、第2弾は「2022年1月〜2023年9月」に実施されました。
また、自治体マイナポイントという形で、各自治体の施策も実施されています。
自治体の給付金をキャッシュレス決済のポイントとして交付する仕組みで、たとえばau PAYを選択すればau PAY 残高チャージで給付されます。
地方自治体が、自治体の給付金をキャッシュレス決済で使えるポイントとして交付する仕組みです。マイナンバーカードを保有し自治体の条件に該当する住民が対象となります。

自治体マイナポイントとは?仕組みから受け取りまでまとめて解説
https://media.aupay.wallet.auone.jp/articles/1391自治体マイナポイントは、マイナンバーカードの普及を促進するとともに、地域独自のポイント給付施策をオンラインで迅速かつ効果的に実施可能にする仕組みです。 自治体マイナポイントは2022年度から始まった制度で、マイナンバーカード保有やキャッシュレス決済の登録などの条件を満たすことで、自治体からポイントが付与されます。 ただ、知名度はまだまだ低く、「これまでのマイナポイントとどう違うの?」という人も少なくありません。 この記事では、自治体マイナポイントの仕組み、受け取り方法、実際に行われている施策内容をまとめて紹介します。
2025年以降に拡充される予定のマイナンバーカード機能

マイナンバーカードは今後も機能拡充が予定されていて、2025年以降はさらに利便性が向上する見込みです。
以下では、今後予定されている主な機能拡充について解説します。
■iPhoneでマイナンバーカードが利用できるようになる
2025年の春~夏頃からは、iPhoneでもマイナンバーカードの機能が利用できるようになる予定です。
Android端末ではすでに一部機能が利用可能ですが、iPhoneにも対応することで、より多くのユーザーがスマートフォン1台でマイナンバーカードの機能を活用できるようになります。
具体的には、本人確認、コンビニでの証明書取得、行政手続きのオンライン申請などがカードを持ち歩かなくてもiPhoneで可能になります。
■国家資格を証明できるようになる
マイナンバーカードによる、国家資格のデジタル証明が順次進められています。
2024年8月からは介護福祉士や社会福祉士におけるデジタル資格者証の取得が可能となっており、医師や行政書士、キャリアコンサルタントなどもマイナンバーカードを通じて資格保有を証明できるようになります。
また、登録情報の変更もオンラインで完結し、資格保有者と資格管理者の双方にとって利便性が向上します。
■次期マイナンバーカードの導入
2026年度を目途に、新たな機能を搭載した「次期マイナンバーカード」の導入が検討されています。
ICチップの高度化やセキュリティ機能の強化などが図られる予定で、それにより高速な通信規格への対応や大容量化が進み、さらに多くの機能や情報を搭載できるようになると見込まれています。
まとめ
マイナンバーカードは交付開始から間もなく10年を迎え、身分証明書から健康保険証、そして2024年3月からはマイナ免許証としても使える多機能なカードへと進化しています。
2025年以降もiPhoneへの対応や国家資格証明機能の追加など、さらなる機能拡充が予定されています。
マイナンバーカードはこれからのデジタル社会の基盤として重要な役割を担っていくでしょう。その便利な機能と今後の展開に、ぜひ注目していきましょう。