みんな、お財布にいくら持ち歩いている?調査に見るお財布最新事情
キャッシュレス化が進む中で、みんなどのくらいの現金を持ち歩いているのでしょうか。お財布事情に関する調査を見ながら、お金の最新事情を確認していきましょう。
■マクロミルの調査ではお財布に入っている金額は「5,000円~1万円」が最多
マーケティング・リサーチ企業のマクロミルが1,000人を対象に行った調査を見てみましょう。
「普段、お財布にはいくらの現金を入れていますか?」という質問に対して、最も多かった回答は「5,001〜10,000円」で28.3%。次いで「10,001〜20,000円」が25.2%です。半数以上の人が「お財布の中身は1万円以下」となっています。
また、男女別にも傾向が異なり、男性では年代が上がるにつれお財布の中身が高額になる傾向にあります。また、男性の場合、1万円以上を持ち歩く割合が半数を超えるのは40代以降。一方、女性ではどの年代も1万円以下が半数を占めています。
■PGF生命の調査では、お財布に入っている平均額は「14,250円」
PGF生命が2,000名を対象にしたアンケート「くらしの総決算2021」では、お財布に入れている金額の平均は「14,250円」とお発表されています。先ほどの調査と同じくらいの水準であることがわかります。
また、普段の買い物で最もよく利用する方法は、現金が36.8%、カード払いは43.5%、スマホ払いが19.7%となっており、キャッシュ
現金は「念のために」持ち歩く存在に
キャッシュレス化が進んでも、「まったく現金を持ち歩かない」という人はほとんどいません(マクロミルの調査では「現金をお財布に入れていない」割合は1.7%)。
キャッシュレス決済が使える店舗が増えてもなお現金を持ち歩くのは、「何かしらの理由でスマホ決済が使えなかったときのため」や「友達と割り勘できるように」など、「念のためのシチュエーション」に備えるのが主な理由と考えられます。
さらに、災害対応や防災の観点からもキャッシュレス決済よりも現金のほうが優秀で、「万が一の事態に備えられる」というのは現金を手放せない理由のひとつでしょう。
クレジットカードの保有枚数の調査結果は?
ここまでお財布に入っている平均金額は、おおよそ1万円前後だということがわかりました。それでは、クレジットカードはみんな何枚くらい持っているのでしょうか。
日本クレジットカード協会が行った調査によると、2021年3月末時点で日本では2億9,531万枚のクレジットカードが発行されています。単純計算すると、成人1人当たり2.8枚所有していることになります。
なお、日本全体の発行枚数のうち「家族カード」と「法人カード」を除いても2億枚以上のクレジットカードが発行されており、少なく見積もっても日本人1人当たり2枚以上を持っているということです。
複数のクレジットカードを持つ理由には、「複数のポイントを貯めたい」「片方が使えなくなったときのための予備」「国際ブランドの異なるカードを持ちたい」などが考えられます。
お財布もミニマリスト化!?最近ではミニ財布も人気
キャッシュレス化の流れは、お財布のトレンドにも影響しています。持ち歩く現金が少なくなったことでお財布もスマートにするニーズが高まっており、近年「ミニ財布」が人気です。「LOEWE(ロエベ)」や「セリーヌ」といった人気ブランドも、2021年以降相次いで新作のミニ財布を発売しています。
一方で、長財布はダウントレンド気味です。かつては「お金持ち=長財布」というイメージも一般的でしたが、それも今後変化していくかもしれません。近年はショップのポイントカードなどもアプリ化しており、大きめサイズの財布の需要が減ってきています。
現金とキャッシュレス決済はどんなシーンで利用されている?
キャッシュレス決済には、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済などの種類があります。これらのキャッシュレス決済と現金は、それぞれどのようなシーンで使われているのでしょうか。続いては、使われ方の特徴を見ていきましょう。
インフォキュリオンの調査「決済動向2021年4月」によれば、クレジットカードは家電量販店やガソリンスタンド、百貨店などで利用される傾向にあるとしています。一方で、SuicaやPASMOなどの電子マネーは、電車やバスなど交通機関での利用率が高くなっているのが特徴です。スマホ決済とも呼ばれるQRコード決済は、コンビニやドラッグストア、ファストフードなど、生活に密着したお店で頻繁に利用されています。
一方で、現金が多くを占めているのが「病院・クリニック」「処方箋薬局」「居酒屋・バー」など。これらの業態では、「現金しか使えない」というケースも少なくないためこのような結果になっていると考えられます。
QRコード決済の利用者は右肩上がり
そして、キャッシュレス決済のなかでも、QRコード決済の利用率が近年急速に上昇しているのは特筆すべき点です。先ほどのインフォキュリオンの調査では、2019年にわずか12%だったQRコード決済普及率が、2021年には54%まで上昇しています。
■始めやすく続けやすいQRコード決済
QRコード決済が急速に普及した理由のひとつに、「消費者・店舗側ともに始めやすい」という点が挙げられます。
QRコード決済はスマホひとつで決済を行うことができ、登録もアプリ上で完結するため面倒な手続きが不要です。クレジットカードのような審査も必要ありません。
また、「PayPay」や「au PAY」などQRコード決済サービス主要各社は、お店でサービスを導入する際の導入費用や決済手数料の無料期間を設定しているところも多くあります。店舗にとって導入費用がかかるクレジットカード決済や電子マネーと比較し、導入へのハードルが低く始めやすいため急速に使えるお店が増えたということです。
■QRコード決済アプリは「個人間送金ツール」としても使われている
QRコード決済はお店での支払いにくわえて、個人間送金にも利用されています。
友達との食事や会社の飲み会などの際、割り勘になりますよね。一人ひとりお金を集めるのは面倒で、計算が合わないなんてことも少なくありません。
そこで「au PAY」や「LINE Pay」といったQRコード決済アプリを活用して、個人間送金を行えば送りたい金額ピッタリを送金できます。アプリ上での割り勘の方法は決済サービス社ごとに異なりますが、幹事がスマホアプリでQRコードを作成し、参加者がコードを読み取り送金する、などの方法があります。この方法なら、計算ミスやお釣りの過不足などの問題を心配することなく、割り勘ができます。
世界的ではキャッシュレス決済が主流
日本でもスマホ決済は急速に普及しつつありますが、世界の各国ではより一層キャッシュレス化が進んでいます。キャッシュレス推進協議会の「キャッシュレス・ロードマップ2021」によれば、2018年の世界各国のキャッシュレス決済比率は次のようになっています。
• 韓国 94.7%
• 中国 77.3%
• カナダ 62.0%
• オーストラリア 59.0%
• 日本 24.2%
日本の隣の中国や韓国は、世界でも有数のキャッシュレス大国ともいわれ、生活のいたるところにキャッシュレス決済が浸透しています。
数字を見てわかるように、日本のキャッシュレス化はほかの国と比べて遅れ気味です。ただ、伸び率を見ると日本も負けていないため、今後は世界のキャッシュレス決済比率に追いついていくでしょう。
意外な所でも!キャッシュレス決済が使える場所が増えている
今まで現金が当たり前だった場所でも、キャッシュレス化が始まっている事例をご存じでしょうか。
■お賽銭をキャッシュレス化するお寺や神社が増えている
お寺や神社にお参りする際に行う「お賽銭」。「ご縁があるように5円玉」「いい縁の語呂合わせで11円」など、縁起のいい小銭を投げ入れる方も多いのではないでしょうか。
実はお賽銭もキャッシュレス化が進んでいます。京都の「東本願寺」では、QRコード決済やクレジットカードでお賽銭を納めることができます。また、日光の人気観光スポット「日光二荒山人神社」でもインバウンド参拝客増加に伴い、中国で普及しているQRコード決済「WeChat Pay」や「Alipay」による奉納を2018年から開始しています。ほかにも「スマホでお賽銭」と題し、QRコード決済を受け付けるお寺や神社が次々と登場しています。
実はここ数年、各金融機関で硬貨取り扱いの有料化が進んでいます。小銭を銀行口座に預け入れるにも手数料がかかり、その負担を減らすためにキャッシュレス決済への移行が進んでいると考えられます。また、盗難の被害も最小限に抑えられるというのも、理由のひとつでしょう。
■おこづかい・お年玉は電子マネーで渡す時代?
おこづかいやお年玉もキャッシュレス化が進んでいます。「Suica」などの電子マネーにお金をチャージして渡したり、「LINE Pay」や「PayPay」で子どものアカウントにお金を送ったりなど、現物ではなくキャッシュレスで子どもにお金を渡すということです。
現金を用意する手間がかからないだけでなく、購入履歴を後から確認できるのもキャッシュレスおこづかいのメリットです。電子マネーやQRコード決済なら、どこで子どもがお金を使ったのかが履歴に残ります。親としても安心でき、さらには「何にどれくらいのお金を使っているか」を親子で振り返りながら金融リテラシー教育の教材にも活用できます。
デジタルギフトの贈り物なら、気軽に感謝の気持ちを伝えられる
贈り物のキャッシュレス化は、デジタルギフトが代表的です。デジタルギフトには、QRコード決済での個人間送金にくわえて、Amazonカードなど各ギフト券も含まれます。最近では物理的なカードがない、Eメールタイプのギフト券も登場しています。
物での贈り物は「結局使ってもらえないかも」「邪魔になってしまうかも」といった不安がありますが、ギフトカードなら相手が好きな物を購入できるので気軽に渡せます。また、遠いところに住んでいる相手に、即座に届けられるのもデジタルギフトのメリットです。
■キャッシュレス決済を使うかは利用シーンやお相手で使い分ける
さまざまなものがキャッシュレス化されていく一方で、「気持ちがこもっていないように感じる」「昔からの習わしに従いたい」などの意見も当然あるでしょう。
エイチームフィナジーの調査で「お賽銭やお年玉がキャッシュレス決済でできるようになってほしいか」を聞いたところ、半数以上の人は「あまりそう思わない」または「全くそう思わない」と回答しています。
ただ、キャッシュレス化の流れは不可逆的です。現状では「キャッシュレスでは味気ない」と考える人は多いですが、将来的に多くの人がそう考えるかはわかりません。もしかすると、「昔はお賽銭箱に現金を入れていたんだよ」と子どもに言っている日が来るかもしれません。
まとめ
普段の生活でキャッシュレス決済を利用する人は、現金支払いをする人の割合を超えています。この数字は日本のキャッシュレス化が進んでいることを示し、今後さらにその動きは強まるでしょう。
賛否両論がある中でも、お賽銭や贈り物といったこれまで現金が当たり前だったものもキャッシュレス化が進んでいます。現金は「あくまで念のために持ち歩くもの」へと変化しつつあり、クレジットカードやQRコード決済といったキャッシュレス決済はすでに生活には欠かせない必需品になっています。
そして、街を見渡せば「支払いは現金のみ」というお店のほうが少なくなってきているのが現状です。消費者だけでなく、事業者にとってもキャッシュレス決済の導入は「顧客確保のための重要な施策」であるということです。