LINE公式アカウントの基礎知識
まずはLINE公式アカウントでできる基本機能から、代表的なものをご紹介します。
| メッセージ配信 | 公式アカウントを友だち登録したユーザーへ、画像やテキストなどのメッセージを一斉送信できる機能です。性別や年齢などの属性で絞り込むセグメント配信にも対応しており、狙ったターゲットへ効率よくアプローチできます。 |
| リッチメニュー | トーク画面の最下部に大きく固定表示されるタイル状のリンクメニューです。Webサイトや予約ページ、クーポンなど、ユーザーが見たい情報へ直感的に誘導できます。 |
| あいさつメッセージ | ユーザーがアカウントを友だち追加した際、自動で最初に送れるメッセージです。歓迎や感謝を伝える、アカウントの特徴や機能を伝えるなど、様々な用途が考えられます。 |
| LINEチャット | ユーザーと1対1で個別にトークできるコミュニケーション機能です。問い合わせ対応や予約の受発注など、手軽で親密な接客ツールとして活用できます。 |
| クーポン | 店舗で使えるクーポンをデジタル上で作成・配信できる機能です。利用数や利用率のデータをリアルタイムで確認でき、施策の効果検証にも役立ちます。 |
| ショップカード | LINE上でポイントの付与や管理ができるデジタルショップカード機能です。ペーパーレスで紛失のリスクがなく、特典を用意することでリピート来店を効果的に促せます。 |
| ステップ配信 | 友だち追加などをきっかけに、あらかじめ準備したメッセージをスケジュールに沿って自動送信する機能です。適切なタイミングで段階的に情報を届けることで、購買意欲や来店意欲を高められます。 |
■まず取り組むべきは「リッチメニュー」と「メッセージ配信」
LINE公式アカウントには数多くの機能がありますが、最初は機能を絞ってスタートすることが大切です。
堤「よく『LINE公式アカウントはお店の小さなミニホームページ』とお話ししています。最初に注力すべきは、トーク画面の下部に表示される『リッチメニュー』で受け入れ態勢を整えること。お店の紹介、アクセス、メニュー、ショップカード、クーポンなど、来店客が知りたい情報を集約しましょう。その後、画像や動画のメッセージでユーザーにアプローチしていく。この『リッチメニュー』と『メッセージ配信』の2軸から始めるのが先決です」
LINE公式アカウント導入のメリット
集客・販促のツールには、メルマガやSNS、チラシのポスティングなどさまざまな選択肢があるなか、小さな店舗がLINE公式アカウントを導入するメリットはどこにあるのでしょうか。
■最大のメリットは「即効性」と「開封率の高さ」
小規模店舗がLINE運用を始めた際に、最も強く実感するのが「メッセージの即効性」です。
堤「たとえば飲食店で『朝から雨で、ランチやディナーの客足が遠のきそう』という日に『雨の日限定10%OFFクーポン』を配信すると、それを見たお客様が来店してくださるケースがあります。LINEはスマホに通知が届き、数時間以内に開封されやすいため、『今すぐ集客したい』という場面での即効性に優れています」
■メルマガとの比較:開封率は約3〜6倍
一般的なメールマガジンの開封率は10〜20%程度にとどまることも多いですが、LINE公式アカウントの場合、2割のユーザーがメッセージを受け取ってすぐに開封し、約5割が3~6時間以内、約8割のユーザーがその日のうちに開封するなど、開封率や即時性の高さが分かっています(※)。
堤「100人にメッセージを見てもらうために、メルマガでは1,000人の登録者が必要ですが、LINEなら200人強の友だちがいれば達成できる計算になります。友だちを集めるハードルの高さを考えても、非常に効率的です」
■認知のSNS、売上直結のLINE
InstagramやX(旧Twitter)などのSNSは、情報を拡散して「お店を認知してもらう」のが得意なツールです。一方でLINE公式アカウントは、個人のスマホのトーク画面に直接メッセージやクーポンが届くため、売上・来店に結びつけるために取り入れたいツールです。
事前にチェック!LINE公式アカウント運用の注意点
多くのメリットがあるLINE公式アカウントですが、運用を開始する前、あるいは本格化させる前に知っておくべき注意点と対策をまとめました。
■ブロックを防ぎ、開封・クリック率を高める3つのコツ
友だちが増えてもブロックされてしまっては意味がありません。ブロックを防ぎつつ、高い反応率を維持するためには、以下を重要視しましょう。
1. 配信頻度は「週1回(月4〜5回)」を目安とする
連日のようにメッセージを送ると、ユーザーから「しつこい」と感じられ、ブロック率が高まります。
堤「最も適切な配信頻度は週1回(月に4〜5回程度)。どんなに多くても週2回までに抑え、ユーザーの負担にならないペースを守りましょう」
2. 定期的にユーザーメリット(クーポン等)を提供する
配信頻度が高めでもブロックされないアカウントの共通点は、ユーザーにとってメリットがあること。LINE限定の割引クーポンやプレゼント企画などが定期的に届く状態を作っておけば、「友だちでいる方が得だな」と感じてもらえるためブロックを防げます。
3. 「売り込み」ばかりにせず、お店のファンを作る配信をする
宣伝・売り込みばかりの配信は敬遠されがちです。店舗オーナーやスタッフの人柄が伝わる親しみやすい配信を意識しましょう。
堤「あるローカルスーパーでは、名物店長さんに1分ほどの短い動画に出演してもらい、コミカルなミニコント風の販促動画を配信したところ、お客様から『動画見たよ!』と声をかけられ、通常の2倍以上の売上を記録しました。単なる宣伝ではなく、お店やスタッフのファンになってもらうような配信を心がけることが、小さな店舗ならではの強力な武器になります」
■「費用がかかりすぎて続かない」を防ぐ「セグメント配信」テクニック
LINE公式アカウントは、月間のメッセージ配信数が増えると有料プランへ移行し、通数に応じて費用がかかっていきます。費用を抑えつつ高い成果を上げるためには、ターゲットを絞り込んで送る「セグメント配信」の活用が不可欠です。
コスト削減と成果UPを両立するセグメント手法
1. 属性セグメント
性別・年齢・居住エリア・友だち追加時期で絞り込む
2. オーディエンス機能(行動セグメント)
過去の配信を開封した人・リンクをタップした人だけに絞り込む
3. リッチメニューの挙動分析
リッチメニューの特定パネルをタップした「関心層」だけに絞り込む
LINE公式アカウントを活用した集客のコツ
ここからは、店舗でLINE公式アカウントを運用し、ゼロから友だちを増やして売上に結びつけるための実践的なノウハウを解説します。
■ゼロから友だち数を増やす「3つの仕組み」
アカウントを開設しても、友だちが増えなければ集客効果は生まれません。友だち数を伸ばすためには、3つの施策を組み合わせましょう。
1. 現場スタッフによる直接の「声かけ」
テーブルやレジ横にQRコード入りのPOPを設置するだけではなく、接客時にスタッフが「LINE登録でドリンクが無料になりますのでご登録ください」と一言声をかけるだけで、登録を期待できます。スタッフ全員が登録のメリットを理解し、声かけを徹底することが重要です。
2. インパクトのある登録特典(プレゼント)を用意する
「1,000円相当のドリンク+トッピング3種無料」のように、登録した瞬間に「これはすごい!」「お得だな」とお客様が直感的に感じられるインパクトのある特典を設定しましょう。
3. 自然と友だちが「集まる仕組み」を作る
単なる割引特典だけでなく、店舗のオペレーション自体にLINE登録を組み込むのも一つの方法です。
堤「福岡にある店舗では『LINEから注文ができるシステム』を導入し、店頭で案内したところ、1店舗ながら友だち数が5万人以上まで増えました。また、イベントなどの入場時に『事前問診や免責事項の入力をLINEで行う』仕組みを作った企業では、イベント参加者全員が自動的に友だち追加されるため、非常に効率的に友だち数を増やせました」
■LINEから「来客・売上」へ誘導する業種別テクニック
店舗の業態によって、LINE公式アカウントから来店・売上へつなげる方法は異なります。
飲食店・美容室などの「薄利多売・定期利用型」
継続した来店を促したい飲食店・美容室のような業態には、月4回程度LINEでメッセージを届けて『お店の存在を思い出してもらう機会』を作り出すことが最大の対策になります。
堤「飲食店などで初回利用後に2回目の来店がない理由をアンケート調査すると、最も多い回答は『不満があったから』ではなく『特に理由はない』でした。2回目以降の来店を促すには、『今日何を食べようかな』と迷うタイミングでクーポンが届く状態を作るのがコツです」
工務店・高単価サロンなどの「検討型・高単価型」
単価が高く検討期間が長いビジネスでは、友だち追加された直後から設定した日時に自動で順番にメッセージを送信する「ステップ配信」が効果を発揮します。
堤「最初は自社のこだわり、2通目は施工事例、3通目は失敗しない家づくり相談会の案内といった形で、営業マンのトークのような価値あるコンテンツを順番に届けると、ユーザーの熱量を高めて来店や個別相談予約へつなげることができます」
小さなお店でもマネできる!LINE公式アカウントの成功事例
最後に、小規模店舗がLINE公式アカウントを活用して成果を挙げた具体的な事例を紹介します。
■事例1:新規友だち獲得に成功した事例
前述した機能以外にも、手軽な広告やクーポン活用で新規友だちを獲得できた事例があります。
友だち紹介クーポンの活用
既存の友だちがLINE上で知人にアカウントを紹介し、知人が登録すると「紹介した人」「紹介された人」の双方に特典(例:お会計から500円引き)が届く機能です。店舗のファンである既存顧客からの口コミで広がるため、非常に質の高い見込み客が集まります。
抽選付きクーポンの活用
発展編として、トーク画面上でガラガラ抽選ができる『抽選付きクーポン』も強力です。
堤「たとえば1等:ステーキ無料(確率1%)、2等:次回使える500円引きクーポン(確率10%)、3等:本日アイス無料(確率89%)といった設定にしておき、『今日のお会計がタダになるかも!』というゲーム感覚を楽しんでもらうことで、登録へのハードルが下がり、店舗での友だち獲得数が一気に跳ね上がります」
■事例2:来客数・売上アップにつながった事例
売上アップに成功している店舗は、「シンプルで刺さるオファー」を適切なタイミングで配信しています。
旬のメニュー告知で売上アップ
季節性やイベント時期に狙いを定めた商品やクーポンの訴求はLINEと好相性です。
堤「ある飲食店では、肌寒くなってきた秋口のタイミングで『おでん始めました』というメッセージをシンプルに写真付きで配信し、200万円以上の売上を創出しました」
「今すぐ使いたい」が成功の鍵
友だち数1,000人規模のハンバーガーショップで、「ハンバーガー注文でフライドポテト無料」のクーポンを配信しました。
堤「通常、クーポンの利用率は数%程度と言われるなか、登録者の約20%(約200人)が来店してクーポンを利用するという驚異的な反響を記録しました。ユーザーにとって今すぐ使いたいと思える魅力的なオファー設計が成功の鍵です」
■事例3:配信計画と地道な振り返りで配信効果を継続
長期的にリピーターを増やし続けている店舗には「毎月の計画的な運用習慣」があります。
毎月「配信計画」を立ててPDCAを回す
売れている店舗は、思いつきではなく「配信スケジュール」を毎月綿密に計画したうえで配信し、適切に振り返りを行う、PDCAサイクル=Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4段階を繰り返すことが重要です。
具体的には、管理画面で以下の3つの数字をチェックし、改善を繰り返すことが成功への近道です。
【LINE運用で改善のために追うべき3大指標】
1. 開封率
メッセージが見られているか(配信時間帯や1行目のテキストを改善)
2. クリック率
記載したURLや画像がタップされているか(画像デザインや訴求文を改善)
3. クーポン使用数・使用率
配信が実際の来店・売上につながったか(特典内容や条件を改善)
結果が良かった理由・悪かった理由を振り返り、良かった配信内容を翌月以降にマイナーチェンジして再現していく地道な積み重ねが、大きな成果へつながります。
まとめ
LINE公式アカウントで成果を出すために重要なのは、最初は「友だち集めが10割」という意識を持つことです。どれほど魅力的なメッセージも、届ける相手がいなければ意味がありません。顧客一人一人との関係づくりを楽しみながら、一歩ずつLINE活用を進めてみましょう。
この記事の監修者
1991年生まれ愛知県出身。名古屋市立大学経済学部卒業。大学卒業後、業界最大手の教育機関で、英会話スクールのコンサルティング計57スクールに携わる。同年度、社内の企画大会で入社1年目ながら最優秀社長賞を受賞。翌年は社内のマーケティング事業に従事した。その後、LINE公式アカウントを基軸としたマーケティング会社、株式会社MARKELINKを創業。
2019年、日本初となるLINE公式アカウント書籍を執筆し、増版。2023年までに4冊のLINE公式アカウント関連書籍を出版。代表作に『LINE公式アカウントマスター養成講座』(つた書房)などがある。



