ペットと過ごせるお店にするために。営業前に知っておきたい手続き

ペットを連れて食事を楽しみたいというニーズは年々高まっており、「ペット同伴OK」を掲げるとお店の強みになります。ここでは、営業を始める前に知っておきたい必要な届出・資格を整理してお伝えします。
■ペット同伴OKの飲食店にするために必要な届け出 ・資格
飲食店をペット同伴可にする場合も、まずは通常の飲食店と同じように、「飲食店営業許可」の取得と「食品衛生責任者」の設置が必須です。これらは、どんな飲食店にも共通して求められる要件です。加えて、営業内容によっては、追加の「営業許可」や「営業届出」が必要になることがあります。

ペット同伴OKの店舗にするからといって、特別な資格が求められるわけではありませんが、自治体ごとに追加のルールや書類提出が必要になるケースがあります。その場合は、営業許可を申請するときに「ペット同伴可の店舗」であることを明記し、図面や衛生面の対応を併せて確認される流れが主です。
一般的に求められる基準には、次のようなものがあります。
・厨房と客席をしっかり区切る
・客席に手洗い場を設置する
・ペット用の食器や調理設備を、人用と分けて用意する
・食品を扱うスタッフはペットに触れない
また、ペット用のおやつを販売するために輸入・製造を行うなら、農林水産省への届出。店舗の規模によっては消防署への届出などを求められる場合があります。
ペット同伴可にするには 「通常の飲食店の手続き」+「自治体ごとの追加確認」 がポイントになります。開業前に管轄の保健所へ相談しておくと安心です。
ペットとお客さまが快適に過ごすためにできる工夫は?

ペット同伴可にするには、飼い主も周りのお客さまも安心して過ごせる環境づくりが欠かせません。ここでは特に利用が多い犬の同伴を想定し、ルール作りや空間の工夫、衛生管理といったポイントを分かりやすくご紹介します。
■①ペットとお客さま両方にやさしい空間を作る
まずはペットやペット連れのお客さま、さらには一般のお客さまも気持ちよく過ごせる空間にするために、できることを紹介します。
一般客とペット連れのエリアを分ける
ペット連れのお客さまと一般のお客さまが同じ空間で過ごすと、どうしても気を遣う場面が出てきます。そのため、席を分けて配置する工夫が有効です。
たとえば、テラス席をペット同伴専用にすると、双方が安心して食事を楽しめます。屋外は開放感もあり、ペット連れの利用者にとってリラックスしやすい環境となるでしょう。
ルールを明示する
トラブルを避けるためには、あいまいなお願いではなく、具体的なルールを明文化して伝えることが大切です。入店時には「首輪やリードの着用」「狂犬病などの予防接種済みであること」を条件とする店舗も多く見られます。
さらに、過ごし方のルールとして「机の上にペットを乗せない」「吠えたりケンカになったりした場合は飼い主が速やかに対応する」といった点を掲げておくと安心です。併せて、動物が苦手なお客さまへの配慮として「当店はペット同伴可能です」と分かりやすく掲示しておくと、来店前に選択できるため親切です。
ペットも安心して過ごせる店内設計にする
快適さは飼い主だけでなく、ペット自身にとっても重要でしょう。フローリングなど滑りやすい床は転倒やケガにつながるため、滑りにくい床材や足腰に優しい素材を選ぶのがおすすめです。
また、席の配置やパーテーションを使用するなどの工夫で、ペット同士が直接視界に入らないようにすれば、落ち着いた雰囲気で過ごすことができます。小さな配慮が「また来たい」と思ってもらえるお店づくりにつながります。
■②衛生管理を徹底する
ペット同伴可にするうえで、最も注意が必要なのが衛生管理です。食事を提供する場である以上、利用するすべてのお客さまが安心できる環境づくりが必要になります。ここでは、店舗が取り組むべき基本的な衛生対策を紹介します。

こまめな清掃と消毒
ペット同伴可の店舗で最も気をつけたいのが、抜け毛や汚れの残りです。来店ごとにテーブルや椅子をアルコールで拭き上げるのはもちろん、床や座席に残った毛は粘着テープなどで丁寧に除去しましょう。
こまめな清掃をルーティン化することが、安心感につながります。
ニオイ・排泄への備え
ペットと過ごす空間では、ニオイ対策や排泄への備えも欠かせません。定期的な換気で空気を循環させるほか、消臭剤や空気清浄機を設置すると効果的です。
さらに、万が一の粗相に備えて、ペットシーツやお掃除用の備品を常備しておくと、飼い主も安心して利用できるでしょう。トラブルを事前に防ぐ準備が、リピーター獲得にもつながります。
ペット同伴OKにした後の、集客アップのための工夫

ペット同伴可にするだけで終わらせず、その魅力をしっかり伝えて新しいお客さまに来てもらい、さらにリピーターとして定着してもらう工夫が大切です。ここでは、集客につなげるための具体的な取り組みをご紹介します。
■SNSを活用する
せっかく「ペット同伴OK」にしても、その情報が伝わらなければ新しいお客さまには届きません。そこで効果的なのがSNSでの定期発信です。
店内で撮影できるペット用の小物やフォトフレーム、季節ごとの装飾を用意すれば、写真映えする空間に。飼い主がおしゃれな写真を投稿しやすくなり、自然と拡散も期待できるでしょう。その際、「#ペット同伴可能」「#犬とカフェ」などのハッシュタグを活用すれば、ペットと一緒に外食したいお客さまの目に留まりやすくなります。
また、SNS上でクーポン情報を発信すれば、来店の後押しにもつながります。季節に合わせて、活用していきましょう。
■QRコード決済を取り入れる
ペットを連れていると、荷物やリードで手がふさがることも。そんな時に便利なのがQRコード(※1)決済です。スマートフォンひとつで片手でもスムーズに支払いができるため、飼い主にとって大きな安心につながります。
「au PAY」 は、導入費用や入金手数料が無料(※2) で、管理画面から24時間いつでも問い合わせ可能と、サポート体制が充実。au PAYが利用できる店舗は「使えるお店」としてアプリに表示されるため、新しいお客さまの集客にも活用できます。
さらに、月額500円(税込550円)(※3)のau PAY グロースパック クーポンを組み合わせれば、アプリから簡単にクーポンを配信でき、リピーターづくりにも効果的です。
※1 「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
※2 決済手数料率は2.6%(税別)です。
※3 お客さまのクーポン利用1回ごとに20円(税込22円)の利用料が発生します。
ペットと一緒に楽しめる店づくりが集客のカギ
ペットを家族の一員として迎える人が増える今、「ペット同伴OK」はお店にとって大きな強みになります。ただし、衛生管理やルールづくりなど基本の対策をきちんと整えて、飼い主も一般客も安心して過ごせる空間にすることが大切です。さらに、SNSでの発信やQRコード決済、クーポンの活用といった工夫を加えることで、新規来店からリピーターづくりまで幅広く効果が見込めます。小さな配慮と発信力の積み重ねが、「また来たい」と思ってもらえるお店づくりにつながるでしょう。